電気代上乗せ2~21円 太陽光発電買い取りで転嫁 - 日本経済新聞
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電気代上乗せ2~21円 太陽光発電買い取りで転嫁

東電など10社申請、家庭も企業も負担増

家庭の太陽光発電から余った電力を買い取る費用の電気料金への上乗せが4月から始まる。東京電力など電力10社が20日、上乗せ料金の認可を政府に申請した。標準家庭の上乗せ幅は東電で月8円、最高額の九州電力で月21円。自然エネルギー普及のための制度だが、家庭や企業の負担は増える。

上乗せ料金は政府の「太陽光発電の余剰電力買い取り制度」に基づき、電力各社が算定した。最低額の北海道電力は月2円。11年4月分から12年3月分まで電気料金に上乗せされ、家庭、事業所など全ての利用者が支払う。電力自由化を受けて参入した新興電力会社から電力を購入している企業も負担する。

上乗せ料金は毎年見直される。制度導入直後の10年度は実質的な買い取り対象期間が1カ月にとどまった結果、1キロワット時当たりの上乗せ額が1銭に満たなかったため、転嫁しなかった。電気料金への上乗せは今回が初めてとなる。

上乗せが電力各社でばらついたのは、地域の太陽光発電の普及度や電力需要の規模によって左右されるため。九電の場合、住宅用の太陽光発電の普及率が全国有数の佐賀県などを抱え、電力需要の規模に比べて太陽光発電が普及しており、上乗せ料金が最も高くなった。電力各社が10年1~12月に買い取った余剰電力量は10社合計で約14億キロワット時、買い取り費用は合計約630億円だった。

政府はさらに再生可能エネルギーの導入を促すため、12年度をメドに大規模な太陽光発電や風力、地熱、中小水力、バイオマス(生物資源)発電の電気も幅広く買い取る制度を導入する方針だ。

経済産業省の試算では同制度開始後10年目には再生可能エネルギーの導入量(発電能力ベース)が09年の3倍強の4700万~5000万キロワット規模に拡大する。電力会社の買い取り量が増加、電気料金への上乗せ負担額は現行の太陽光発電の余剰電力買い取り制度だけの場合に比べ1.5~2倍になるとみられる。

電力消費の多い電炉業界は、新制度が導入されれば負担増分で経常利益の1割以上が失われるとみている。太陽光発電パネルなどを生産している電機大手は「工場の電力コスト増より(パネルなどの)売り上げ拡大効果の方が大きい」とみており、影響は業種間で明暗が分かれそうだ。

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