2019年9月19日(木)

避けられない「気温2度上昇」の巨大リスク 洪水や台風など
日本総合研究所理事 足達英一郎

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2013/8/30 7:00
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「ティッピング・ポイント」という言葉がある。「(重大な変化が起きる)転換点」を意味する。人類の経済活動から排出される温室効果ガスによって引き起こされる地球全体の平均気温の上昇を、産業革命前(人為的な温暖化が起きる前)と比べて2度未満に抑えるという目標が、これまでは世界で合意されてきた。それ以上の気温上昇になると、極めて深刻な問題が生じると予測されたからだ。2度が「ティッピング・ポイント」だったのである。

しかし、2度未満に抑えるという目標は、実現できそうにないという見通しが優勢になってきた。国際機関による複数の報告書にも、地球全体の平均気温の上昇が2度以上となることを前提に、その対応策を講じるべきとする内容のものが目立つようになっている。

世界銀行が発表した「Turn Down the Heat 2013」と題する報告書では、気候変動がアフリカ・サブサハラ地域、東南アジア地域、南アジア地域で、どのような悪影響を及ぼすことになるかを詳細に予測・分析している。

東南アジア主要都市の気候変動の影響予測
都市名人口規模
(2005年、
百万人)
気候変動
によって
影響を被る
人口予測
(2070年、
百万人)
2070年に4
度上昇の世
界となった
場合の海面
上昇予測
(86~05年
比)
ジャカルタ13.22.266センチ
マ ニ ラ10.60.566センチ
バンコク6.55.165センチ
ホーチミン
シティ
5 9.265センチ

(出所)Turn Down the Heat 2013から抜粋

具体的には、現時点の0.8度上昇の水準から、2度、4度に各々上昇した時に、農業生産、水資源の確保、沿岸漁業、海岸線の保全などといった領域で、どのような現象が生じるかが丁寧に描写されている。日本企業にとっても結び付きの強い東南アジア地域については、夏期の熱波の深刻化、マニラ、ジャカルタ、ホーチミンシティ、バンコクなどで50センチメートルを超える海面上昇、台風の巨大化などが懸念されるという。

国連環境計画は「GEO-5 for Business」と呼ぶ報告書を公表。建設、化学、電力、鉱山、金融、食品、医療、情報通信、観光、運輸という10の業種について、地球環境問題の趨勢がどのような脅威と事業機会をもたらすかを記述している。例えば、食品業界では、農産品や畜産品の入手、品質維持が困難となり、価格高騰が深刻化することや、水資源の確保が困難になる懸念を分析している。

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