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ソニーVS.マイクロソフト インディゲーム「青田買い」競う

東京ゲームショウ開幕

ゲーム見本市「東京ゲームショウ2013」が19日開幕した。ソニーと米マイクロソフトの次世代ゲーム機がそろい踏みする今回、新たなソフトの獲得を競う。標的は「インディーズゲーム」。スマートフォン(スマホ)ゲームの普及で増殖する無名の開発業者の「青田買い」を急ぐ。19日には家庭用ゲーム機市場をけん引した任天堂の山内溥前社長が死去した。ゲーム業界が大きくうねっている。

スマホ台頭で激変

「まずパソコン向けで利用者100万人。来年には家庭用ゲーム機向けにも展開したいね」

ゲームショウ会場の一角。自社開発ゲームの出展のためにインドネシアから来日したアントリオ・ベルガスディットさんは自信を見せた。東南アジアの市街地を現地のクルマが疾走する、パソコン用のレーシングゲーム「ANGKOT」を今年11月からネット配信する計画だ。

今回のゲームショウでは、大手ゲーム会社のブースの傍ら、多くの中小ゲーム開発会社が集まった。アジアを中心に海外企業も多く、33の国・地域から160社強が出展した。スマホが世界中に行き渡り、家庭用ゲームが主体だったゲームショウも様変わり。利用者だけでなく、ゲーム開発者側にも大きな変化の波が押し寄せている。

沖縄県北谷町のサマータイムスタジオは今年で設立2年、従業員数も20人ほどの典型的なインディーズだ。しかし、既にスマホやタブレット(多機能携帯端末)向けでは一大ヒットメーカーとなった。今年4月に自社タイトルとして初めて配信を始めたゲームは、既に国内外でダウンロード数が100万回を超えた。

スマホ向けなどに世界中の誰もがゲームを開発して配信。独創的な面白さがあれば一躍巨万の富を得られる時代がゲーム業界に訪れたわけだ。一般的なゲーム開発ツール「Unity」を使用する開発者だけでも、世界に160万人存在すると言われる。

 こうしたインディーズゲームの開発者に目を付けたのが、ゲーム機の巨頭であるソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)とマイクロソフト。ここまでスマホゲームの台頭に押され続けてきたが、急成長したインディーズゲーム開発者を自社のゲーム機向けに取り込もうと躍起だ。

無名の開発者に脚光

ゲームショウのSCEの巨大な出展ブースの片隅には、次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)4」向けに3本の新作ゲームが紹介された。これは同社が欧米でヘッドハントしたインディーズ作品。この2年、先行して欧米では囲い込みを進め、最新鋭のゲームソフトとして迎え入れた。欧米では宣伝面での優遇や、開発資金援助のための基金も設立。日本でも、今年7月に社内に専門のインディーズ開拓チームを発足した。

対するマイクロソフトも今年8月にインディーズ発掘プロジェクト「ID@Xbox」を開始した。ゲーム開発キットを無償提供するなど、支援策を打ち出している。既に数百の案件が集まっているという。同社のバイスプレジデントのフィル・スペンサー氏は「我々にとっても大きなチャンス」と歓迎ムードをあらわにする。

ただ、インディーズ熱が高まることは、従来のゲームソフト業界が行き詰まっていることと裏腹だ。「現在のゲーム業界は『ファミコン』に始まり、(1990年発売の)『スーパーファミコン』の時代に趨勢が決した」とある業界関係者は言う。その間に企業同士の合従連衡はあったが、ソフト開発における新陳代謝は起こらなかった。

むしろ、高性能や高画質を追求し続けたために、開発コストは肥大化し、市場縮小もあって大手ソフト会社の業績は低迷が続く。インディーズ台頭の中、ソフト会社も変化を迫られる。

「ドラゴンクエスト」などで有名なスクウェア・エニックス・ホールディングス。4月にヒットタイトル「拡散性ミリオンアーサー」を生み出した。これは昨年にスマホ向けに同社が配信を始め、国内外で600万回のダウンロードを記録、それを携帯ゲーム機向けソフトとして投入した。

ゲーム機向けでも無料でネット配信し、ゲーム内の課金で設ける仕組みを採用する。課金ユーザーは2万人程度だが、「通常のソフト販売で40万~50万本相当の売り上げがあった」と開発者の安藤武博氏は言う。スマホで小さく産み出し、ゲーム機で大きく育てる「インディーズ的」な新方程式だ。

重厚長大化が続いたファミコン後のゲーム業界。インディーズの登場は、業界の新陳代謝を促す新たなカンフル剤となりそうだ。

(北爪匡)

[日経産業新聞2013年9月20日付]

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