ヤフーとCCCがポイント統合 ネットから店舗に誘客
「Tポイント」に一本化

ヤフーとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は19日、両社のポイント制度を来春をめどに統合すると発表した。両社のポイントはCCCの「Tポイント」に一本化する。ヤフーは利用者の幅を広げることでターゲットを絞ったインターネット広告などを展開。CCCはネット利用者を実際の店舗に誘導する戦略を強化する。

CCCが自社で運営している「Tポイント」プログラム運営事業を新設分割し、新会社を10月に設立する。社名や資本金は未定。CCCが85%を出資し、ヤフーは15%資本参加する。新会社の社長にはCCCの増田宗昭社長が就任、ヤフーの宮坂学最高経営責任者(CEO)は取締役に就く。
ネット利用のユーザーIDはヤフーのIDに統一する。CCCは今年5月末時点で、Tポイント会員を4045万人抱える。ヤフーの稼働会員は今年1~3月時点で2641万人。ポイントの切り替えやIDの一本化は来春を予定している。
ポイントの統合でヤフーは実際の店舗での利用情報も詳しく把握できるようになる。個人情報に配慮しながら、ターゲットを絞ったネット広告などにつなげる。一方、CCCはヤフーが提供するネット上のサービスを通じて加盟店への誘客に力を入れる。
ヤフーでは月間5100万人がサイトを閲覧するほか、ネット通販で3万7000店を持つ。CCCはTポイント加盟店を4万6000店抱える。ヤフーの地域情報総合サイト「ヤフー!ロコ」に登録する美容室など地域に密着した18万店と、CCCの地域代理店網を相互に活用。「Tポイント」の提携店舗の拡大を目指す。
ヤフーとCCCは2010年7月にポイント制度を中心とした包括的業務提携を締結。ヤフーのネット通販「Yahoo!ショッピング」で買い物をすると、CCCの「Tポイント」が付与されるといった連携サービスを展開してきた。ただ、ポイントとIDが併存する形だったため、これらを一本化する。
両社の資本・業務提携でヤフーの宮坂CEOは「(ネットと実店舗で)切れ目のないサービスを提供したい」という。CCCの増田社長は「ヤフーの媒体力で(利用者数などの)ケタが上がる」と期待している。
野村総合研究所によると、ポイントや航空会社のマイレージは12年度に少なくとも9425億円分が発行される見通し。15年度には1兆円規模に達するとみている。発行企業が増えてきた一方で、利便性が高い共通ポイントサービスに人気が集まっている。