2019年9月20日(金)

シーセンス・ラービックCEO「ネット広告、低コストに」

2012/6/20付
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――企業などが蓄積する膨大なデータ「ビッグデータ」が広告市場に与える影響は。

「これまで広告枠を持つ媒体や広告主はインターネット広告などを展開し、消費者の膨大な閲覧履歴をデータとして蓄積してきた。しかしせっかく手元にある宝の山を、分析して広告戦略に生かそうとしてこなかった。米グーグルや米アップルはビッグデータを分析して自社サービスに生かし成果を上げている。同じ果実をこれからは媒体や広告主が味わう番だ」

「消費者がどこで、どんな機器で何をどう見ているかを知ることが最も肝心だ。消費者の行動をコンテクスト(文脈)で理解することが不可欠となる。弊社はそのための技術"コンテクストコンピューティング"をクラウドの力を最大限駆使して提供している」

――広告効果はどれぐらい高められるのか。

「当社は主に媒体向けに効果の高い広告を仕入れる技術を得意とする。サイト上のバナー広告の月間閲覧数(ページビュー)を2割程度引き上げた実績がある。また表示したバナー広告のクリック率も2~3倍高まり、コンテクストに沿った広告展開の重要性を体感できたと評価されている」

「例えば旅行サイトで消費者が札幌市の観光情報をみているとしよう。消費者が東京からアクセスしているなら、東京から札幌行きの飛行機を予約できるサービスの広告を表示する。コンテクストを使わない現状、例えばサッカーのポルトガル代表の試合結果を見ている顧客にポルトガル産の商品の広告を見せてしまう。期待を裏切る広告に顧客が反応するはずがない」

――ネット広告は今後どう進化するのか。

「広告主と媒体の間にはさまざまな業者が介在し、複雑極まりない。結果としてネット広告を展開するために、複数の企業と付き合い、各社が運用する取引システムを併用しなければならず、低コストでかつ効果的な広告キャンペーンを展開するのにふさわしいとはいえない」

「媒体がビッグデータを分析するようになり、最適な広告をその都度広告主から直接仕入れる時代になるのではないか。仲介業者は統廃合が進み、シンプルな取引システムになるだろう。結果として中間マージンが減り、低コストでネット広告を出稿しやすくなるはずだ」

――欧米でビッグデータを広告に活用した動きは出てきているか。

「スペインやスイス、ノルウェー、スウェーデンなどでは主力出版社が集って独自の広告取引システムを構築し、自前で運用する機運が高まっている。グーグルら既存システムに対抗し、低コストで効果的な広告を広告主から仕入れるのが目的だ。ビッグデータを媒体側が握っているからこそ実現できた取り組みといえよう」

(聞き手は高田学也)

John M・Lervik ノルウェー科学技術大学で工学博士号を取得。共同創設者としてファストサーチ&トランスファ(ノルウェー)を立ち上げた。2008年に米マイクロソフトは同社を買収。09年までMS副社長。その後シーセンスを創業。

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