和製EMS、フォスター電機を支える魔法の「レシピ」
日経ものづくり編集委員 木崎健太郎

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2012/12/18 7:00
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EMS(電子機器の受託生産サービス)事業が主力のフォスター電機。この5年間で12カ所もの工場を中国、ベトナム、インドネシア、ミャンマーに立ち上げた戦略を支えているのが、2009年に稼働したグローバルBOM(Bill of Materials、部品表)システム「Felix」だ。複数の工場で同一製品や類似製品の増産に迅速に対応したり、工場ごとにきめ細かく生産計画を変更したりという相反する要素を両立。米アップル向けの供給も担当しているとされる同社の売上高を着実に伸ばす原動力となっている。

東南アジアに展開するフォスター電機の工場

東南アジアに展開するフォスター電機の工場

フォスター電機はスピーカーやヘッドホン、イヤホンの生産を手掛けており、自社ブランドも持つが、電子機器メーカー向けのEMS/ODM(相手先ブランドによる設計・生産)事業が主力だ。特にスマートフォン向けが好調で、「世界的な需要増が見えていたため、それに対応できるように体制整備を進めた」(上席執行役員経営情報戦略室長兼戦略開発本部長の山口卓郎氏)。

世界各地に散らばる工場を効率よく運用するためのカギを握るのがFelix。構築したもともとの目的は多数の工場の状況を本社で把握可能にすることだったが、これができれば工場間での負荷の分担や相互協力が円滑に進められるようになる。当たり前のことのようでいて、実現できている企業は少ない。

工場が異なれば、生産設備や工程も異なる。部品や資材の調達先も変わり、同じ部品でも定格や材質が微妙に違ってくることもある。ある工場では内製する部品を、別の工場では外注するかもしれない。製品に含有されている有害物質の量も、似たような製品であっても工場ごとに変わってくる可能性がある。製品を販売する国がどこかによって、適用される規制の内容が異なるためだ。

フォスター電機の売上高。スマートフォンの需要拡大などによってイヤホンやヘッドホンの需要も増えており、迅速な工場展開でこれに対応した

フォスター電機の売上高。スマートフォンの需要拡大などによってイヤホンやヘッドホンの需要も増えており、迅速な工場展開でこれに対応した

工場ごとに運用するBOMにも違いが生じる。「例えば、接着剤をBOMに入れている工場と、そうでない工場があった」(技術本部オートモーティブ技術部長の杉山誠氏)という具合だ。スタイルの異なるBOMを本社に単に集めてきても、相互の比較や分析は難しいため、生産負荷の分担といった工場をまたがる運用には使えない。

こうした問題を解決するにはBOMのスタイルを統一する必要があるが、工場による差異は必然的に生じるものであり、無理になくすことはできない。差異を認めつつ、本社で状況を一元的に把握できるようにするため、フォスター電機はFelixでどのような工夫をしたのだろうか。

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