周回遅れの孤高のランナーが先頭に 長崎のイサハヤ電子

(1/2ページ)
2013/7/23 7:00
保存
共有
印刷
その他

周回遅れと思われていた技術が時代の転換期に突如、脚光を浴びることがある。省エネ技術への関心の高まりでそれまで苦境にあえいでいた重電各社が息を吹き返したことは記憶に新しい。半導体製造中堅のイサハヤ電子(長崎県諫早市)のアナログ半導体もそうした技術の一つかもしれない。

「2003年のルネサステクノロジ(現ルネサスエレクトロニクス)の誕生に合流しなかったのは、今となっては正解だった」。イサハヤ電子の井崎春生会長兼社長はこう振り返る。

同社は三菱電機の系列部品会社として1973年に発足。三菱電機と日立製作所が半導体部門を統合して旧ルネサステクノロジを設立した際に、イサハヤ電子にも新会社に合流するよう声がかかった。だが「即座にお断りした」(井崎会長兼社長)という。「最先端のシステムLSIやマイコンが中心の新会社に加わっても端役になるだけ」と考えたからだ。

未曽有の半導体不況でルネサスエレクトロニクスは経営が悪化し、国家的な支援を受けて合理化の真っ最中だ。「"寄らば大樹"であの時加わっていたら当社は真っ先に切り捨てられていただろう」(井崎会長兼社長)

同社が世界で6%のシェアを持つパワー半導体用モジュール(2枚の黒い板がゲートドライバー)

同社が世界で6%のシェアを持つパワー半導体用モジュール(2枚の黒い板がゲートドライバー)

年商100億円前後のイサハヤ電子が得意とするのは、電源の制御に使う「ディスクリート」と呼ばれる小型トランジスタと、パワー半導体用のモジュール(複合部品)の2つ。いずれもアナログ半導体と呼ばれる技術が基盤になっている。

アナログ半導体は、パソコンなどに使う半導体メモリーDRAMなどデジタル情報で動くデジタル半導体が主流の現代ではニッチ製品。半導体が高性能化するにつれ、大手は市場が小さいアナログ半導体から手を引いていった。現在、大手でアナログ半導体部門を抱えるのは東芝、ロームなど数えるほど。イサハヤ電子は日本唯一のアナログ専業メーカーとしてニッチ市場で細々と生きてきた。

そこに追い風が吹き始めた。2011年の原発事故をきっかけに省エネ技術や再生可能エネルギーに対する関心が高まり、制御に使うアナログ半導体の市場がにわかに広がり出したのだ。

同社は風力発電機などのモーター制御に使う「ゲートドライバー」と呼ばれる電子部品で国内最大手。世界市場でも6%のシェアを持つ。ほかにもハイブリッド車(HV)など「自動車の電動化」の流れを背景に自動車分野でも同社製品の出番が増えている。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]