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ほしいモノは「ソーシャル・キュレーション」で探せ、米で急拡大

ネットのアルゴリズム検索はもう古い?

米国で「ソーシャル・キュレーション」系と呼ばれるネットサービスの利用が広がっている。キュレーションとは一般的に、博物館や美術館の学芸員(キュレーター)が、専門知識をもって展示を企画し、アーティストや作品などを選択する作業を指す。ソーシャル・キュレーション系のサービスを使うと、ネット上に無数にある情報を関心のあるトピックに合わせて取捨選択し、1カ所に集められるうえ、その後ネットを通じて友人や不特定多数の閲覧者と簡単に共有できるようになる。

ソーシャル・キュレーション人気の代表格といえば、ネット上の画像の"収集と共有"を可能にした「ピンタレスト(Pinterest)」だ。子供の頃、雑誌などで見つけた写真を切り抜いて壁に貼ったり、透明のデスクマットのなかに収集したりした経験をもつ人は多いはず。同じことをネット上で可能にしたのがピンタレストだ。

ネット上で気にいった画像があったら、利用者は「ピン(選択)する」機能をクリックするだけで、ピンタレストの自分のページに画像が収容される。他人が集めた写真"集"も閲覧可能で、趣味の似た利用者がいたら、その収集活動を「フォロー(追跡)」し、そこで見かけた"いい写真"をさらに自分のページに取り込むこともできる。

この"簡単さ"と"楽しさ"が受けて、利用者が急拡大。米調査会社コムスコアによると、3月時点の米国の月間利用者数は1870万人と、半年で約10倍に増えた。

ピンタレストが画像専門の収集・共有サイトだとすると、新聞や雑誌などの記事のキュレーションを可能にしたサービスが「Snip.it(スニップ・イット)」だ。スニップとは英語で「はさみで切る」という意味で、まさに記事の切り抜き集を保存、共有できるようにしたもの。創業者ラミー・アディーブ氏によると、現在、サービス開始約半年で利用者数は1万人超。すでに日本語にも対応しており、1000人程度の利用者がいるという。

利用者は、新聞や雑誌のサイトに加え、ブログや情報サイトなどで面白い記事を見かけたら「スニップする」機能をクリックして、自分のページ上に収集していく。「政治」「ファッション」などカテゴリー別の収集が可能で、過去に集めた記事を探すのも簡単だ。

 「新興企業に関心がある人が、エジプトにも関心がある可能性は低い。別々にフォローできたら便利なのに」。アディーブ氏は、スニップ・イットに"カテゴリー別"のフォロー機能を取り入れた理由をこう説明する。エジプト出身で、かつてベンチャーキャピタル(VC)に勤務していた同氏は、ミニブログ「ツイッター」を通じてエジプト事情と新興企業情報についてつぶやく(ツイート)することが多かったが、2つの読者層が全く異なることが気になっていた。

ツイッターや世界最大の人脈サイト(SNS)「フェイスブック」などが、一度、対象者を登録すると、その人の活動をすべてフォローせざるを得ない一方で、ソーシャル・キュレーション系のサービスでは、対象者の活動のなかで自分と関心の重なる「1部」だけを共有できる。要らない情報を排除できるので、利用者の利便性はより高まる。

ソーシャル・キュレーションに対する関心が高まるなか、有名なVCや起業家による同分野への投資も相次いでいる。昨年、動画共有サービス「ユーチューブ」の共同創業者、チャド・ハーレー氏とスティーブ・チェン氏の2人が運営するネット企業AVOSシステムズが、サイトやブログの収集・共有を可能にするサービス「Delicious(デリシャス)」を買収。ピンタレストには、ツイッターや位置情報によるSNSサービス大手「フォースクエア」への投資で知られる有力VC、アンドリーセン・ホロウィッツが出資している。

◇◇◇◇◇

「グーグルの利用回数は減っているね」と、スニップ・イットのアディーブ氏。かつてならネット上で探しモノがあったら必ずグーグルのサイトを使っていたが、最近では「料理の写真」「中東情勢に関する記事」など探すモノに目星がついているときにはソーシャル・キュレーション系のサービスを活用する。すでに誰かが目を通して仕分けしてくれた情報のなかから該当する情報を探す方が、探し物が見つかる確率がずっと高いからだ。

「えっ、こういう情報が欲しかったわけではないのに」――。グーグルでキーワード検索して、その検索結果になんとなく満足できなかった経験を持つ人は多いはず。これが機械的なアルゴリズムに頼ったネット検索の限界だったが、ソーシャル・キュレーションの台頭でアルゴリズムに「大衆(ソーシャルな)の知」を組み合わせることが可能になった。ネットを通じた「情報探し」の方法は、少しずつ変化し始めている。

(ニューヨーク=清水石珠実)

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