3社連合に秘めたカー・ガイたちの思い

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2010/4/20 9:00
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フランスのルノー、日本の日産自動車と資本・業務提携に合意したドイツの名門ダイムラー。高級乗用車「メルセデス・ベンツ」のメーカーは、10年以上にわたって成果がなかった小型車のてこ入れで、日仏の量産メーカーの力を借りる。この新たな3社連合誕生の背景には、かつて米クライスラー、日本の三菱自動車などとの連合で損な役回りを演じ、捲土(けんど)重来を期する2人の「カー・ガイ(自動車野郎)」の思いがある。

1人は今年2月、ダイムラーの新任取締役に迎え入れられたヴォルフガング・ベルンハルト氏(49)。高級車のベンツと小型車「スマート」を傘下に持つメルセデス・ベンツ乗用車部門で、生産と調達を担当する。もう1人がこの中核部門のトップを兼ねるディーター・ツェッチェ社長(56)だ。ベルンハルト氏は浮沈のカギを握るコスト管理を受け持つことで、全社の「ナンバー2」の地位に就いたといえる。

ルノー・日産を率いるカルロス・ゴーン氏の「コストカッター」の異名も、欧州では一昔前の話になりつつある。現地の自動車業界やメディアで名をはせるのはベルンハルト氏だ。実は新任取締役といっても「出戻り」の形で、古巣での復活がかかっているから注目度は高い。

ベルンハルト氏はVWに転身し、VW乗用車のコスト構造を見極めた経験がある

ベルンハルト氏はVWに転身し、VW乗用車のコスト構造を見極めた経験がある

ベルンハルト氏は、旧ダイムラー・ベンツでベンツの上級車種「Sクラス」などを担当。1998年にクライスラーと合併した後のダイムラークライスラー(当時)では、2000年からクライスラー部門の最高執行責任者(COO)に抜てきされている。

クライスラーとの「世紀の合併」を主導したユルゲン・シュレンプ前社長時代。ドイツの名門は三菱自、韓国・現代自動車とも資本提携し、「日の沈まない世界株式会社」ともてはやされた。若くして日の当たる場所を歩いてきたベルンハルト氏は、02年にこの新会社で取締役に就任している。

しかし、「世界株式会社」はつまずきの連続だった。合併直後からクライスラーの業績不振が表面化し、三菱自はリコール(回収・無償修理)隠し問題で窮地に追い込まれる。三菱自に資本面での支援の必要が生じた04年、取締役会でシュレンプ氏の支援の意向に強く反対したのがベルンハルト氏だ。メルセデス乗用車部門トップに就く人事は見送られ、ベルンハルト氏は退任に追い込まれた。

一方、クライスラーのCOO時代のベルンハルト氏の上司で、最高経営責任者(CEO)を務めていたのが現在のダイムラーのツェッチェ社長だ。当時のメルセデス乗用車部門は、多目的スポーツ車(SUV)などが中心のクライスラーとプラットホーム(車台)の共通化など目に見える形の相乗効果を見いだせなかった。ツェッチェ氏とベルンハルト氏のコンビは反転策を模索するが、クライスラーの赤字をメルセデス乗用車が埋め合わせるのが世界株式会社の実態だった。

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