2019年9月17日(火)

グーグル月面レース、「はやぶさ」仕込みの日本チームが挑む

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2013/8/25 7:00
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無人探査ロボット(ローバー)を月に着陸させ、最初に500メートル走らせたチームが米グーグルから20億円をゲット――。そんな壮大なレースに参戦する日本企業がある。ローバーの開発やロケット打ち上げにかかるコストは最低でも数十億円。優勝しなければ大損だが、月面レースをやり遂げれば、その先に宇宙ビジネスへの無限の可能性が広がる。

20日、太平洋に面した浜松市の中田島砂丘。灼熱(しゃくねつ)の砂の間を不思議な形をした小型物体が走る。この日から月面を走破するローバーの試作機の走行実験が始まった。

「10年後の世界を創造したい。民間組織による月面探査への挑戦でワクワクする宇宙開発の時代を切り開きたい」。月面に挑む日本チーム「ハクト」の運営会社ispace(アイスペース、東京・渋谷)の袴田武史社長の語り口は熱い。

ハクトの母体はオランダに拠点を置いたチームで、欧州宇宙機関(ESA)の関係者が中心だった。ただ、資金難などで2011年、当初の計画が頓挫。ローバー製作を担当していた日本勢が後を引き継いだ。

民間初の月面レース。冠スポンサーはグーグルだ。実は07年にひっそりと開始。開催期間は15年末までで最初に月面でローバーを500メートル以上移動させ、高画質の動画と写真を地球に送ったチームが優勝となる。

運営主体は米国のXプライズ財団。国際宇宙大学を創設したピーター・ディアマンデス氏が立ち上げた。月面レースには優勝以外に特別賞もある。マイナス100度以下にもなる夜間の走行、水の発見、5キロ以上の走破などに最大5億円。レースの目的は民間宇宙開発の火付け役となることで過酷な状況への挑戦をたたえる姿勢を示す。

ただミッション達成への道のりは遠い。ローバーを月に届ける前に資金繰りの壁が横たわる。ロケットの打ち上げだけでも数十億~100億円かかる。参加を表明した29チームのうち、すでに6チームが姿を消した。

日本勢は産学連携チームで挑む。経営コンサルタント出身の袴田社長は資金調達と計画の取りまとめが役回り。ローバーの開発は東北大の吉田和哉教授が担う。3億キロメートル離れた小惑星「イトカワ」から微粒子を持ち帰った探査機「はやぶさ」の開発メンバーだ。

今のところ、懐具合は寂しい。主に企業からのスポンサー料を当て込むが「話はあってもなかなか決済が下りない」(袴田氏)。そこでハクトは、ロケットの独自調達を断念し、有力チームに間借りさせてもらう「便乗作戦」に切り替える。

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