「プレモル」が「ラガー」抜く 12年出荷量
ビール系飲料、全体では8年連続最低に
ビール大手5社が16日発表した2012年のビール系飲料の出荷量は8年連続で過去最低を更新した。新ブランドが育ちにくいなか、定番品の販売競争は激化。サントリー酒類の「ザ・プレミアム・モルツ」がキリンビールの「ラガー」を販売量で抜くなどブランド間の優勝劣敗が鮮明になりつつある。
昨年の出荷量は前年比1.0%減の4億3811万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。東日本大震災の反動などで前半はプラスで折り返したが、10年まで2ケタ前後の成長が続いていた「第三のビール」で伸び率が1.1%に鈍化。ビールや発泡酒の落ち込みを補えなかったことが響いた。
市場低迷が続くビールではブランド別のシェアで変動が起きた。昨年のビール販売量ではサントリーのプレミアムモルツが1656万ケースと、キリンのラガー(1486万ケース)を初めて抜いた。ラガーはピーク時にはビール販売シェアで約6割を握った老舗ブランドだ。
各社は市場が縮む中、1ブランドに販促費などを集中している。キリンは2位の「一番搾り」を最優先する一方、サントリーはプレミアムモルツに過去最高の販促費をつぎ込み、逆転につながった。プレミアムモルツは3位のサッポロビール「黒ラベル」(1705万ケース)も13年中に超える見通しだ。
ビール業界の頭痛の種は第三のビールの伸びが鈍化した点。5社の統計に含まれない大手小売りの輸入プライベートブランド(PB=自主企画)品が伸びているほか、若者が缶チューハイなどを好む傾向も影響している。このため新商品がことごとく不発。アサヒビールの「ダイレクトショット」は販売目標の4割に満たず、キリンの「麦のごちそう」も「幅広い消費者を捕らえきれなかった」(同社幹部)。