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メガソーラー、採算性の落とし穴 発電性能低下リスクも

ソフトバンク系のSBエナジー(東京・港)が運用する大規模太陽光発電所(メガソーラー)「ソフトバンク京都ソーラーパーク」は2012年7月1日に第1基、同9月1日に第2基が稼働した。京セラ製の多結晶シリコン太陽電池計1万7360枚を、20度の傾斜を付けて設置した。直流電流を交流に変換するパワーコンディショナーのメーカーは日新電機。太陽電池、パワコンのいずれも地元企業の製品だ。出力は第1基、第2基の合計で約4200キロワット。年間発電量は一般家庭1160世帯相当の約420万キロワット時を見込んでいる。

ソフトバンク京都ソーラーパークの年間発電量は一般家庭1160世帯相当(京都市伏見区)

地上設置型のメガソーラーは日照を遮る雑草の繁茂を嫌う。太陽光発電の基礎を設置する前に地面を掘削して防草シートを敷いたり、完成後に除草剤をまいたりして雑草の成長を抑える。このメガソーラーは周囲に高い建物がなく、日差しに恵まれた「京都市水垂埋立処分場」の上に建つ。ただ、用地を深く掘削しないという条件がついており、防草シートを敷き詰めることはできなかった。処分場に対する水質検査があるために除草剤をまくこともできない。定期的に人手で雑草を刈り取る必要がある。

太陽電池パネルを取り付ける架台の基礎を施工するための深い地面掘削もできない。建設工事用のU字溝にセメントを詰めた「置き基礎」を用いた。その重みで架台をしっかりと固定する構造にした。

メガソーラーで起こした電気を関西電力の送電網に流すための電柱にも工夫が必要だった。大電流を流すための電線は太くて重い。掘削規制があるために電柱の根元を地下深くに埋めて、電線の荷重を支える事ができなかった。SBエナジーは敷地外の電柱につっかい棒をつけて荷重を受け止めるようにし、さらにその先の電柱10数本もSBエナジーの負担で新しいものに建て替えた。起こした電気を電柱まで運んでくる電線もコンクリート製のケースの中に収め、地上をはわせている。

メガソーラーというと太陽電池パネルの変換効率ばかり注目されるが、事業採算を左右する要素はそれだけではない。京都ソーラーパークの場合は立地場所の関係で特に制約が大きいが、メガソーラーは施工や除草の手間、電力会社の送電網に接続するための電柱増設の有無など付随的な業務や付帯設備のコストも大きいことを忘れてはならない。

 メガソーラー建設に際し、コスト重視で極端に安価な外国製太陽電池を採用した太陽光発電施設は今後、発電性能低下に注意が必要になるかもしれない。2012年、欧州ではメガソーラーの出力が低下する「PID」現象が大きな問題になった。高温多湿の条件下で太陽電池システムを高電圧で使うと、太陽電池モジュール表面のガラスに含まれるナトリウムがイオン化して悪影響を及ぼすといわれている。

ソフトバンク京都ソーラーパークの概要
所在地京都市伏見区淀水垂町、同淀樋爪町
敷地面積約8万9000平方メートル
出力約4200キロワット
運転開始第1基:2012年7月1日~
第2基:2012年9月1日~
施工京セラコミュニケーションシステム

国産勢や海外の大手は絶縁性の高い封止材や湿気を遮断するシートを装着するなどの対策を講じているためにPID現象の懸念は少ない。ただ、一部ではコストを切り詰めるために封止をおざなりにした製品も出回っている模様だ。これまで日本では家庭の屋根に設置するケースが大半で、高電圧の大規模な太陽光発電施設がなく、PID現象は顕在化しなかった。最近はメガソーラー建設が相次ぐようになり、事情が変わった。

2012年12月に幕張メッセで開催された太陽光発電展示会「PVジャパン2012」では、「当社の製品はPID現象とは無関係です」と連呼するブースが目立った。PID現象はもはや対岸の火事ではなくなった。再生可能エネルギーの固定価格全量買い取り制度への参入を目指す企業や自治体は多いが、付随業務や付帯設備、PID現象への目配りを忘れてはならない。

(編集委員 竹田忍)

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