自販機「輪番節電」 日本コカやダイドーが6月以降
時間帯ずらし冷却停止、消費電力33%減も
清涼飲料各社が今夏、東京電力管内にある自動販売機を対象に、時間をずらしながら冷却機能を止める輪番節電に取り組む。最大手の日本コカ・コーラは15日、6月下旬から約25万台で実施すると発表した。ダイドードリンコも実施するほか、サントリーホールディングスも検討に入った。他社も歩調を合わせる見通しで、業界挙げて節電に取り組む姿勢をアピールする。

日本コカは設置場所に応じて自販機を3つのグループに分け、午前10時~午後9時の時間帯でそれぞれ5~6時間、冷却を止める。例年、夏の午後1時~4時の3時間は冷却運転を停止しており、これを2~3時間延ばす。9月まで実施する。
この輪番節電によって25万台の消費電力を例年の夏場より約33%減らせるという。
停止時間を長くすることで、自販機内の温度はセ氏7度程度と通常より上がる。同社は「それでも冷蔵庫内の温度と同じくらい。ほとんど変わらない状態で冷たく飲めるのでは」として、販売への影響は少ないとみる。
サントリーは約15万台、ダイドーは約9万台の自販機を東電管内に持つ。業界団体の全国清涼飲料工業会(全清飲、東京・中央)によると、東電管内に清涼飲料の自販機は約87万台あるという。3社を合計すると半数以上の自販機が輪番節電の対象となる見通しだ。
全清飲は同日、東電管内の自販機について、業界全体で7~9月に瞬間最大使用電力の25%削減を目指すと表明した。1台当たりの使用電力量は約4キロワット時という。
キリンビバレッジは「輪番節電は選択肢の一つ」としているほか、アサヒ飲料も25%削減する方針。伊藤園なども対応策を練っており、業界挙げての取り組みに広がりそうだ。
日本は治安の良さもあり、世界的にみても自販機が密集している。国内には清涼飲料の自販機が252万台あるという。
東日本大震災によって東電の電力供給能力が低下。官民挙げての節電対策が迫られる中で、東京都の石原慎太郎知事は「(自販機は)大きな電力を使う」などとして節電を求めた。都議会最大会派の民主党も、都内の自販機の電力使用を制限する条例案の提出準備に入るなど政治的な圧力が強まりつつある。
業界では震災前から節電を進めていたこともあり、「なぜ自販機ばかりがやり玉に挙げられるのか」(清涼飲料大手)といった戸惑いの声も広がっていた。今回の取り組みで節電に協力する姿勢を鮮明にする。