2018年12月10日(月)

「江戸っ子1号」、8000メートルの深海へ 下町の中小が資源探査

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2013/8/19付
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東京の下町の中小企業などと大学、国の研究機関、信用金庫が組んで、格安の無人深海探査機「江戸っ子1号」を開発した。秋にいよいよ8000メートルの深海に挑む。中小の徒手空拳で始まったプロジェクトは様々な人脈を得て、新たな技術を開発、海洋国家日本の資源を探索する先兵になろうとしている。

採泥器を持つ杉野社長

採泥器を持つ杉野社長

「8000メートルが見えてきた」――江戸っ子1号プロジェクト推進委員会委員長の杉野行雄・杉野ゴム化学工業所(東京・葛飾)社長は、8月上旬に行った相模湾での実験で本番の成功の感触を得た。実験では予定の500メートルを超える700メートルの海底でガラス球の重りを海上からの信号で切り離し、ガラス球を回収することに成功した。

昨秋の実験では重りが切り離される前に引き揚げてしまったが、その後経験を積んだ成果だ。

江戸っ子1号の本体は、縦方向に直径33センチメートルの3つのガラス球からなる。1番下の球に3Dのハイビジョンカメラを入れて海底を撮影、アームの先に器具を付けて海底の泥などを採取する。真ん中の球には照明とバッテリーを入れ、1番上の球は船からの音波通信を受信し、電流で海底にある重りを切り離す。

さらに本体の10メートルほど上に通信球をつける。最後に浮上して海の上に出た時に全地球測位システム(GPS)を使って、自分の位置を船に伝え、回収を待つ。

9月下旬の本番では海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋調査船「かいよう」から、房総半島沖の日本海溝の8000メートルの深海に3つの江戸っ子1号を投入する。

3時間かけて深海に下り、バッテリーが持つギリギリの10時間、深海底で様々な観測をし、また3時間かけて上がってくる計画だ。開発の本格開始から2年半で深海にたどり着く。

順調に見えるプロジェクトは当初はいきなり座礁した。東大阪市の中小企業による小型の人工衛星「まいど1号」の成功に触発された杉野社長が、「大阪が宇宙なら江戸は深海だ」と2009年春に構想を取引先の東京東信用金庫の担当者に話した。すると芝浦工業大や東京海洋大、JAMSTECなどに話が広がり、参加を考える中小企業は10社を超えた。

当初考えていたのは深海底を自走する無人の探査艇。しかし、検討を進めていくと開発費は軽く1億円を超え、開発期間も長い。「とても我々が耐えられる規模ではない」と企業が離れ、残ったのは杉野社長と浜野製作所(東京・墨田)の浜野慶一社長の2人だけ。

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