2018年5月22日(火)

がんの痛み抑える新型薬続々
注射剤や張り薬など

2010/4/5付
保存
共有
印刷
その他

 製薬各社ががんに伴う痛みを和らげる新型の鎮痛薬を日本で相次ぎ発売する。塩野義製薬は今夏をめどに抗がん剤の使用で吐き気などをもよおした患者に投与しやすい注射剤の承認を申請する。協和発酵キリンは口の中で溶けて効き目が早い飲み薬を2年以内に発売する。日本の医療用麻薬の1人当たり消費量は米欧に比べ少ないが、国は4月の診療報酬改定でがんの痛みを緩和する治療への報酬を上積みしており、今後は市場の拡大が見込まれる。

 塩野義は現在、飲み薬として販売している「オキシコンチン」の注射剤の承認を申請する。注射や点滴で投与できるようになれば、抗がん剤の投与に伴う吐き気などで薬を飲みにくい患者にも使いやすくなる。

 協和キリンは口の中で溶ける飲み薬の承認を申請した。口の中で溶けた成分が粘膜を通じて吸収されるため、腸で吸収される錠剤より効き目が早い。突発的に起きるがんの痛みに有効という。

 久光製薬はがんの痛みを抑える張り薬を2011年2月期中にも国内で発売する。がんの痛みを緩和する合成麻薬成分が皮膚を通じて長時間安定して体内に届けられ、鎮痛効果が続く。

 同薬剤は夏ごろまでに販売承認の取得が見込まれる。発売後はがん分野に強い協和キリンと共同で販売する計画だ。

 米ジョンソン・エンド・ジョンソンは製薬子会社ヤンセンファーマ(東京・千代田)を通じて1日1回張り替える鎮痛薬「フェンタニル」の承認を申請した。現在は1回張れば3日間は張り替えないタイプが主流だが、毎日張り替えたいとの声に対応する。

 日本ではがんの痛みを抱える患者は最大60万人程度とされる。激しい痛みに使うフェンタニルなど鎮痛薬市場は400億円程度で横ばいが続いている。

 痛みを和らげる鎮痛薬は痛みを感じる脳内物質に作用するため医療用麻薬とも呼ばれる。日本では「患者が麻薬中毒になる」との誤解が根強く、欧米諸国に比べて普及が遅れている。

 しかし2007年4月に施行されたがん対策基本法では痛みを緩和する治療の充実を掲げた。医療機関に支払われる診療報酬の2010年度改定では患者の痛みを緩和するための専門研修を受けた医師を配置する病院に、報酬を患者の入院1日当たり1000円増やし4000円にする方針を盛り込んだ。このため今後は日本でも医療用麻薬の市場が拡大するとみられる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報