2019年8月20日(火)

太陽光、無尽蔵の資源は逃さない  エネルギーを確保せよ(1)
技術で創る未来

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2012/5/17 13:00
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<中国で太陽熱発電 日本の技術、世界のトップへ>

「今年は日中国交正常化40周年。その記念プロジェクトとしてぜひ一緒に成功させましょう」。4月上旬、中国の政府関係者らが東京工業大学の大岡山キャンパスを訪れた。出迎えた玉浦裕教授はこう話し、太陽熱発電の巨大プロジェクトの最終的な詰めに入った。

東工大などはアブダビで太陽熱発電の実証実験を実施した(東工大提供)

東工大などはアブダビで太陽熱発電の実証実験を実施した(東工大提供)

現在、中国政府や両国の企業などと進めているのが「アジア・デザーテック構想」だ。計画では中国中央部の陝西省楡林市に発電設備を設置。降り注ぐ太陽光の熱を鏡で集めて水蒸気を作り、タービンを回して発電する。玉浦教授はその中核技術の開発者だ。

玉浦教授はコスモ石油や三井造船などと、2009年にアラブ首長国連邦のアブダビに実証プラントを建設し、性能を確認済み。どんなプラントなら必要な電力を作れるか、正確に評価できるという。「場所も技術もそろった。中国側の関心も高く、後は細部を詰めるだけだ」(玉浦教授)と期待を込める。

ただし、短期的視点では成功は見込めない。設備費用などで発電コストが高くなってしまうからだ。すぐに売電を始めるのではなく、まずは電気を周辺に豊富にある石炭や天然ガスの液化に利用し、ジメチルエーテル(DME)を作る方針だ。

こうすれば石炭を火力発電に使うケースより、二酸化炭素(CO2)の排出量が大幅に減り、取り出せるエネルギーも増やせる。10年ほどDME製造を続ければ施設のコスト分は回収でき、採算も合うと計算している。その後は作った電気を、送電網を使ってそのまま韓国や日本に輸出しても利益が出ると見込む。

息の長い構想だが、「再生可能エネルギーが、公的支援をなるべく受けずに自立できる方法を考えた結果だ」と玉浦教授は自信を示している。

1980年代、世界初の大型発電プラントを稼働させた日本の太陽熱発電技術。だが、計画通りの発電ができず、開発は中断された。その太陽熱発電で、世界の先頭に再び躍り出るプロジェクトが動き出す。

(鴻知佳子)

[日経産業新聞2012年5月17日付]

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