2019年8月26日(月)

太陽光、無尽蔵の資源は逃さない  エネルギーを確保せよ(1)
技術で創る未来

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2012/5/17 13:00
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三菱化学が有機薄膜太陽電池の開発に乗り出したのは、愛媛大学と有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)などの材料として開発した物質の特性に着目したことがきっかけ。この物質は有機溶媒に溶けるほか、加熱すると結晶になる。溶かした有機物をフィルム基板に塗布することで簡単な製造法を確立した。

現状で太陽の光エネルギーを電気に変換する変換効率は11%。有機薄膜型では世界最高水準だ。今後は水島事業所(岡山県倉敷市)で試験生産設備を導入して13年にサンプル品を売り出し、15年に量産をめざす。

薄くて軽く、曲げられるという特性を生かせば「太陽電池をどこにでも接着して使う世界が広がる」(星島時太郎執行役員)。自動車のみならず、建材に貼り付け、住宅やビルの壁面で発電できる時代も近い。

「蛍光灯の光がもったいない」――。大日本印刷は植物の光合成の仕組みを模した太陽電池を開発、サンプル品の提供を始めた。植物の葉と同様に色素が光を吸収した後、安定した低いエネルギー状態に戻るために電子を放出する仕組みを生かした。

色素を吸着させた酸化チタンや電解質などで構成する色素増感型と呼ぶ製品の特徴は、採用する色素の種類によって吸収する光の波長の範囲を選べる点だ。室内に置いて窓から差し込む太陽光に加え、蛍光灯や発光ダイオード(LED)の光などでも発電できる。

現時点の変換効率は家庭やオフィスの蛍光灯の明るさ500ルクスで約10%。デジタル時計など電子機器に使えば電池交換の手間が省けるようになる。研究開発センターでは「既存の太陽電池と異なる使い方を探る」と説明。数年内に応用品の製品化を期待する。

ソニーは色素増感型を使って多彩なデザインのステンドガラスのようなあんどんを試作した。既存の太陽電池が黒一色だったのに対し、色素増感型は色素の色を選んだり色素を塗り重ねて濃淡をつけたりできるため、デザインの自由度が高まる。ノートパソコンのボディーに利用し、携帯時の稼働を長くするといった使い方も想定する。

(新沼大、黒川卓)

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