2019年8月20日(火)

太陽光、無尽蔵の資源は逃さない  エネルギーを確保せよ(1)
技術で創る未来

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2012/5/17 13:00
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一般的な太陽電池の1キロワット時当たりの発電コストは30円超と、10円以下の液化天然ガス(LNG)火力や原子力に見劣りする。太陽電池のコストが変わらずに発電効率が3倍になれば、発電コストは一気に3分の1の10円程度にまで下がるため、既存の電源からの置き換えが一気に進む可能性を秘める。

■1秒42兆キロカロリー

「従来より効率の高い太陽電池になる可能性がある」。岡山大学の池田直教授がベネッセホールディングスの支援を受けて取り組むのは、特殊な構造を持った酸化鉄化合物を使う太陽電池だ。結晶の中には微妙なバランスで電子が集まっており、1つの光の粒(光子)があたると、バランスを崩して、複数の電子が一気に動き出す。

赤外線に反応して発電する太陽電池になる可能性があるため、池田教授は「家庭の台所や、街中の排熱を生かせるかもしれない」としており、13年度の実用化を目指す。

既存の太陽電池メーカーも高効率化を急ぐ。京セラは変換効率が量産レベルで最高水準となる17.8%に引き上げた多結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子)を開発、12年度上期から量産する。パナソニックもセルの構造や材質を大幅に見直し、13年度にも変換効率で24%台に引き上げた製品を発売する計画だ。

地球に降り注ぐ太陽エネルギーは1秒間に約42兆キロカロリーに達する。宇宙に反射する分を除いて換算すると発電能力100万キロワット規模の原発約6000万基分に相当。すべての太陽光を電気に変換したら、わずか1時間で世界の年間消費エネルギーを賄えてしまうとの試算もある。だが、日本での発電の燃料など1次エネルギー総供給に占める太陽光はわずか0.2%にすぎない。

未利用資源をどう使っていくか。発電効率を高める研究に加え、建物の壁や自動車のボディー、室内など、これまで太陽電池の利用が難しかった空間を有効に使う取り組みも相次いでいる。

■車ボディーでも

三菱化学の四日市事業所・開発研究所(三重県四日市市)。車1台がすっぽり入る箱形の実験場がある。温度85度、湿度85%の過酷な環境下で耐久性試験を終え、実験場から出てきた鋼板の正体は有機薄膜と呼ばれるフィルム状の太陽電池を貼り付けたもの。目指すのは「発電する自動車ボディー」だ。

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