2018年7月23日(月)

「宇宙太陽光発電」は日の目を見るか
日本が先行する新エネ技術 コスト構造の革新が不可欠

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2012/2/20 7:00
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 「宇宙空間に打ち上げた衛星が巨大太陽光パネルで発電し、そのエネルギーを電波で地上に伝送する」――。こんなSF小説のような構想の実現へ向け、日本政府主導で実際に研究開発が進められていることをご存じだろうか。

 「宇宙太陽光発電システム」と名付けられたこの計画はまず、2.5キロメートル四方に太陽光パネルを敷き詰めた装置を大気圏外の静止軌道上に打ち上げ、地上3万6000キロメートル上空で発電する。その後、海上などに設置する直径4キロメートルほどの地上受信装置へマイクロ波で電力を伝送するものだ。試算によれば、原子力発電所1基分に相当する100万キロワットの発電能力を持つ衛星1基のコスト目標はざっと1.2兆円(衛星打ち上げ費用込み)。日本で2030年の実用化をめざすという壮大なプロジェクトだ。

宇宙太陽光発電システムのイメージ(USEF提供)

宇宙太陽光発電システムのイメージ(USEF提供)

 宇宙太陽光発電の歴史は意外に古い。世界的な宇宙開発競争の後、オイルショックを迎えた1970年代には、アメリカ航空宇宙局(NASA)などが宇宙太陽光発電の研究に着手。だが、巨大なコストや優先度の観点から、その後徐々に下火になっていく。

 一方の日本。2度の石油危機を経た80年以降は、大学や研究機関が宇宙太陽光発電の研究を細々と続けてきた。本格化したのは90年代後半だ。将来のエネルギー開発構想として、通産省(現経済産業省)が00年ごろにシステム開発の構想を立ち上げた。実際には宇宙航空研究開発機構(JAXA、宇宙開発事業団=NASDA=などが前身)や、宇宙関連の民間13社が86年に立ち上げた財団法人無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)が衛星関連の技術開発や伝送技術の開発などに取り組んでいる。

 太陽光発電を宇宙で行うメリットはいくつかある。最大の特徴は地上と違い昼夜や天候に左右されないことだ。宇宙の場合は24時間稼働も可能で、発電量は最大で地上の10倍になる。「コンスタントに発電する大容量のベース電源として期待できる」。重工メーカー大手から出向し、USEFで開発を指揮する布施嘉春・技術本部グループマネージャーはこう強調する。

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