米ネットベンチャーが都市部へ大移動 創造性や利便性を重視

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2012/11/15 7:00
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米国のハイテク企業で、郊外にあるオフィスを都市部に移す動きが活発だ。ベンチャー業界でも、サンフランシスコ市内発祥の企業が注目を集める。なぜ、ハイテク企業は都市を目指すのか。その理由を追った。

米アマゾン傘下で靴専門の通販サイトを手掛ける「ザッポス・ドット・コム」は、来年後半、ラスベガス市(ネバダ州)中心部に本社を移す。ザッポスは、1999年創業以来、10年以上にわたりラスベガス郊外のヘンダーソン市に本社を構えてきた典型的な郊外型の企業だ。リラックスした服装の社員が広々とした社内を行き交う様子は心地よさそうだが、社外のカフェやレストランに行くにはいちいち車を運転する必要があり、社員は社内にこもりがちになっていた。

米ピンタレストは今年7月、シリコンバレーからサンフランシスコ市内の現オフィスに移ってきた。(サンフランシスコ市ソーマ地区)

米ピンタレストは今年7月、シリコンバレーからサンフランシスコ市内の現オフィスに移ってきた。(サンフランシスコ市ソーマ地区)

「会社が都市の真ん中にあれば、バーやレストランまでが会議室の役割を果たしてくれる」。トニー・シェー創業者兼最高経営責任者(CEO)は、米メディアに対するインタビューで"都市化"の効果をこう説明した。いままでは会社を一歩出たら途切れていた社員同士の活発な議論が、夜遊び中も続くというわけだ。

また、市内への移動計画の責任者ザック・ウェア氏は、都市の多様性が社内に取り込まれることを期待しているという。「大都市を出歩けば地元のアーティストなど、社内では出会わないタイプの人間との交流が生まれる」。家賃などのコストは都市型オフィスのほうが郊外型より割高だが、ウェア氏は「社員一人ひとりの幸福度、生産性や革新性は確実に高まる。長期的には意味のある投資と考えている」と語る。

ベンチャーキャピタル(VC)などは増資の際に企業価値をはじき出すが、こうした試算で企業価値が10億ドルを超えるベンチャー企業は現在、米国で約19社ある。うち6社がサンフランシスコ市内に立地し、約15都市で形成されるシリコンバレーの企業数を上回る。米交流サイト「フェイスブック」などへの投資で有名なVC、アンドリーセン・ホロウィッツでパートナーを務めるマージット・ウェンマチャーズ氏に理由をたずねると、「大都市であるサンフランシスコのほうが優秀なデザイナーを確保しやすいから」との答えが返ってきた。

写真共有サービス「ピンタレスト」(サンフランシスコ市)やセレクトショップ型の通販サイト「ファブ・ドット・コム」(ニューヨーク市)など、最近、人気を集めるネットサービスは見せ方や使い勝手が優れているものが多い。ネットサービスも機能だけでなく、見た目のかっこよさが求められる時代に入り、企業はエンジニアだけでなく優秀なデザイナー系の人材を確保する必要が出てきた。ウェンマチャーズ氏によると、エンジニアはシリコンバレーでもサンフランシスコでも集められるが、デザイナーの場合、シリコンバレーでは人材が不足しているという。

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