ものづくり進化論(日経産業新聞)

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

農業IT化で激突 人材育成の富士通、新型センサーで挑むNEC

(1/3ページ)
2012/4/17 7:00
共有
保存
印刷
その他

 情報技術(IT)を駆使し、ものづくりのノウハウを移転する農業支援事業で、NECと富士通がしのぎを削っている。得意の情報通信処理技術で農業の生産性向上に貢献し、新事業に育てようという思惑だが、自然相手の農業は製造業のように単純にはいかない難しさもある。かつてパソコンや半導体で覇を競った両社のアプローチはやや異なる。海外市場もにらむ勝敗の行方は、3年もすれば見えてくるのではないか。

NEC東芝スペースシステムの本社工場(東京・府中市)
画像の拡大

NEC東芝スペースシステムの本社工場(東京・府中市)

 東京・府中市のNEC子会社のNEC東芝スペースシステムのクリーンルーム仕様の本社工場。独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の人工衛星に載せる新型のハイパースペクトルセンサーの製造が間もなく始まる。1品生産の衛星部品はすべて手づくり。白衣を着た作業者は顕微鏡をにらみ、プリント基板に微細な電子部品を装着する。衛星は2015年にも打ち上げ予定で、センサーは13年度中に完成させる。

 このセンサーを農業関係者が注目している。光を185にも分けて地上の画像を細かく分析できるので、小麦や稲などの生育状態が衛星画像で詳しくわかるためだ。独立行政法人の農業環境技術研究所も「収穫時期が的確に判断できる。増産につながるだけでなく、作物の品質が高まる」と期待を寄せる。

NECのハイパースペクトルセンサー、「ひすい」の外観イメージ
画像の拡大

NECのハイパースペクトルセンサー、「ひすい」の外観イメージ

 NECも農業などの衛星データの利用をにらみ、利用者を交えてセンサーの仕様を詰めてきた。飛行機にセンサーを搭載して牧草地などを撮影、農家が求める牧草の種類を衛星から見分ける技術を採用した。

 開発を統括するNEC東芝の稲田仁美技術本部光学センサグループ・エキスパートエンジニアは「185にバンド幅を均一に分光できるのは当社だけ」と胸を張る。勝山良彦エグゼクティブエキスパートは「今後は農作物分析に適した波長を詳しく分析できるセンサーも開発したい」と次を見据える。

 衛星センサーで国内トップクラスの実績を誇るNECのリモートセンシング技術は、大きな武器だ。「我々は農業の専門家ではない。得意な企業や大学と組んで、事業を進める」(葛岡成樹ナショナルセキュリティ・ソリューション事業部技師長)と提携戦略を推し進める。

 11年には農業生産・経営データを一元管理するシステムを手掛けるコロンビアの企業と提携し、東南アジアや中華圏向けに提案を始めた。大畑毅新事業推進本部シニアエキスパートは「インドネシアなどで、オイルパーム、野菜、フルーツなどのプランテーション向けに提案中」という。年明けには温室など施設園芸向け資材に強いネポンとも組んだ。センサーやクラウド技術を活用した効率的な栽培施設を営業する。

 一方、NECが「かなり先行している印象」と一目置く富士通は年季が入っている。子会社の富士通九州システムズ(福岡市)は1990年ごろから、農業関係の大卒採用を始めた。栽培に詳しいシステムエンジニアを養成するためだ。一大産地である九州や北海道の子会社が農業向けシステムを独自開発するなど、自前・現場主義が強い。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

IT活用で業務効率化

日経産業新聞のお申し込みはこちら

【PR】

ものづくり進化論(日経産業新聞) 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

12億円を投じて導入した、石油樹脂に水素を混合する設備

樹脂臭に敏感な新興国向け 紙おむつ用接着剤に工夫 [有料会員限定]

 接着剤が発する樹脂特有のにおい。どれだけ気になるかは人それぞれだが、実はアジアの新興国の市場に挑む紙おむつメーカーにとっては一大事だ。日本人以上に樹脂のにおいに敏感という市場に対応するために、接着剤…続き (9/25)

小型車「ノート」やEV「リーフ」を製造する追浜工場は日産のマザー工場

日産自動車

日産、生産現場でも女性活躍 「座って作業」も視野 [有料会員限定]

 国内の生産年齢人口が減少していくなか、日産自動車が製造現場で働く女性技能員の活用に力を入れている。女性が働きやすいラインといった生産現場そのものの改善に加え、今年5月には同社として初めて工場の近隣に…続き (9/11)

三重工場内には生産の進捗状況などを表示する「ダッシュボード」が設置されている(三重県四日市市)

自販機製造、IoTで世界結び効率化 富士電機 [有料会員限定]

 富士電機が自動販売機製造で、海をまたいだ生産効率化に乗り出した。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用して旗艦の三重工場(三重県四日市市)の生産性を向上させ、さらに海外の製造拠点とつないで一…続き (9/4)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

09月25日(月)

  • IoTの決め手は職業研修と教育にあり ドイツがIoT導入を政府によるトップダウンで行う理由(第2回)
  • Lastpassから1Passwordへ乗り換える方法
  • 自動運転時代到来で、自動車市場は急拡大する 名古屋大学COI未来社会創造機構客員准教授の野辺継男氏に聞く

日経産業新聞 ピックアップ2017年9月26日付

2017年9月26日付

・ファーストブランド、専門家の営業支援サイトで英語版、訪日客狙う
・アルプス電気、車載レーザー部品に参入 小型レンズの技応用
・自動運転 向かい合うシート 180度回転 米アディエント提案
・芦森工業、シートベルト部品生産を大阪に移管 年産能力2倍
・介護大手のMCS、「日本式」サービスで中国市場開拓…続き

[PR]

関連媒体サイト