2017年12月11日(月)

農業IT化で激突 人材育成の富士通、新型センサーで挑むNEC

コラム(ビジネス)
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2012/4/17 7:00
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 情報技術(IT)を駆使し、ものづくりのノウハウを移転する農業支援事業で、NECと富士通がしのぎを削っている。得意の情報通信処理技術で農業の生産性向上に貢献し、新事業に育てようという思惑だが、自然相手の農業は製造業のように単純にはいかない難しさもある。かつてパソコンや半導体で覇を競った両社のアプローチはやや異なる。海外市場もにらむ勝敗の行方は、3年もすれば見えてくるのではないか。

NEC東芝スペースシステムの本社工場(東京・府中市)

NEC東芝スペースシステムの本社工場(東京・府中市)

 東京・府中市のNEC子会社のNEC東芝スペースシステムのクリーンルーム仕様の本社工場。独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の人工衛星に載せる新型のハイパースペクトルセンサーの製造が間もなく始まる。1品生産の衛星部品はすべて手づくり。白衣を着た作業者は顕微鏡をにらみ、プリント基板に微細な電子部品を装着する。衛星は2015年にも打ち上げ予定で、センサーは13年度中に完成させる。

 このセンサーを農業関係者が注目している。光を185にも分けて地上の画像を細かく分析できるので、小麦や稲などの生育状態が衛星画像で詳しくわかるためだ。独立行政法人の農業環境技術研究所も「収穫時期が的確に判断できる。増産につながるだけでなく、作物の品質が高まる」と期待を寄せる。

NECのハイパースペクトルセンサー、「ひすい」の外観イメージ

NECのハイパースペクトルセンサー、「ひすい」の外観イメージ

 NECも農業などの衛星データの利用をにらみ、利用者を交えてセンサーの仕様を詰めてきた。飛行機にセンサーを搭載して牧草地などを撮影、農家が求める牧草の種類を衛星から見分ける技術を採用した。

 開発を統括するNEC東芝の稲田仁美技術本部光学センサグループ・エキスパートエンジニアは「185にバンド幅を均一に分光できるのは当社だけ」と胸を張る。勝山良彦エグゼクティブエキスパートは「今後は農作物分析に適した波長を詳しく分析できるセンサーも開発したい」と次を見据える。

 衛星センサーで国内トップクラスの実績を誇るNECのリモートセンシング技術は、大きな武器だ。「我々は農業の専門家ではない。得意な企業や大学と組んで、事業を進める」(葛岡成樹ナショナルセキュリティ・ソリューション事業部技師長)と提携戦略を推し進める。

 11年には農業生産・経営データを一元管理するシステムを手掛けるコロンビアの企業と提携し、東南アジアや中華圏向けに提案を始めた。大畑毅新事業推進本部シニアエキスパートは「インドネシアなどで、オイルパーム、野菜、フルーツなどのプランテーション向けに提案中」という。年明けには温室など施設園芸向け資材に強いネポンとも組んだ。センサーやクラウド技術を活用した効率的な栽培施設を営業する。

 一方、NECが「かなり先行している印象」と一目置く富士通は年季が入っている。子会社の富士通九州システムズ(福岡市)は1990年ごろから、農業関係の大卒採用を始めた。栽培に詳しいシステムエンジニアを養成するためだ。一大産地である九州や北海道の子会社が農業向けシステムを独自開発するなど、自前・現場主義が強い。

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