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脱デフレ、一時金で攻防 車など前年上回る要求

春季交渉がスタート

トヨタ自動車など自動車大手の労働組合が13日に要求書を経営側に提出、2013年春の労使交渉が本格的に始まった。主要労組は賃金改善要求を見送る見通しで、一時金を巡る攻防が焦点だ。デフレ脱却を目指す安倍政権が企業に賃上げを求めるなか、リーマン・ショック前の水準の回復まではいかないものの、業績好調な自動車大手を中心に前年を上回る要求額を提示した。一方、不振が続く家電大手では格差が広がっている。

主要企業の要求内容カッコ内は前回の回答実績、-は要求せず、造船・重機と鉄鋼の賃金交渉は隔年のため今春はなし
企業名賃金改善一時金


トヨタ自動車要求せず
(-)
5.0カ月+30万円
(5.0カ月+3万円)
日産自動車同上5.5カ月(5.3カ月)
ホンダ同上5.9カ月(5.0カ月)
マツダ同上5.0カ月(3.3カ月)
富士重工業同上5.0カ月+10万円
           (5.0カ月)
三菱自動車同上4.3カ月(4.1カ月)
スズキ同上5.3カ月(5.0カ月)
ダイハツ工業同上5.3カ月(5.3カ月)

日立製作所同上5.8カ月(5.28カ月)
三菱電機同上5.57カ月
           (5.67カ月)
パナソニック同上業績連動(同)




三菱重工業交渉せず4カ月+49万円
(4カ月+47万円)
IHI同上4カ月+40万円
                   (同)
川崎重工業同上業績連動(同)

新日鉄住金同上業績連動(同)
JFEスチール同上業績連動(同)
神戸製鋼所同上業績連動
          (103万円)

トヨタ自動車労働組合(鶴岡光行執行委員長、組合員約6万3000人)は13年の春季労使交渉で、定期昇給にあたる「賃金制度維持分」の月額7300円の確保を目指す。要求についてトヨタの小沢哲副社長は「(7300円は)2.1%の賃上げに相当する」と指摘する。

一般的に定昇による賃金の伸びは個人単位でみた場合で会社全体の総人件費は増えないが、年間一時金が組合の要求通り205万円と前年実績より27万円増えれば、一段の実質的な賃上げにつながる。政府の賃上げ政策にも貢献することになりそうだ。

トヨタ自動車の従業員の平均年間給与(有価証券報告書ベース)は昨年3月末時点で740万円。リーマン・ショック前の08年3月末(829万円)と比べ1割低い。今回、トヨタ労組が要求する年間一時金205万円に会社側が満額回答しても、金融危機前の水準には届かない可能性が高い。トヨタ労組は定昇維持と一時金の満額回答を求める方針だ。

トヨタを含む乗用車8社の労組すべてがベースアップ相当の賃金改善要求を見送ったが一時金の要求水準で濃淡が出た。

東日本大震災やタイの洪水による業績悪化を脱したトヨタ、ホンダ、富士重工業の3労組が前年要求を上回る水準を掲げた。中国の不買運動による影響が大きい日産自動車、業績回復途上のマツダなど4労組は前年要求と同水準。スズキの労組は前年要求を下回った。ただ業績の好不調にかかわらず、いずれも平均年間給与では金融危機前の水準に届かないとみられる。

不振が続く電機業界ではさらに格差が広がる。

電機各社の労組は13日にパナソニックグループの労組が要求書を提出したのに続き、14日に日立製作所など各社の労組も提出する予定。

電機各社の労組でつくる電機連合は賃金改善の統一要求を4年連続で見送る方針。年間一時金については年間5カ月分を中心に最低4カ月分の確保を目指している。

日立製作所の労組は14日、業績回復を背景に前年獲得実績を0.52カ月上回る5.8カ月分を要求する見通し。1991年の労使交渉以来の高水準だ。三菱電機の労組もほぼ前年横ばいの5.57カ月分を求めるなどインフラ・重電系は強気だ。

これに対し薄型テレビなどの不振にあえぐ家電メーカーは厳しい。経営再建中のシャープは13年夏の賞与について、前年実績から半減することで労使が合意している。シャープ労働組合(津田秋一中央執行委員長)の要求額は統一要求を下回る見通しで、産別の統一交渉からの離脱は避けられない状況だ。

パナソニックグループ労働組合連合会(PGU、山崎弦一中央執行委員長)も13日、一時金について昨年と同じ業績連動とする要求書を提出した。広田典昭副中央執行委員長は大阪府内で開いた記者会見で「(13年3月期に)2期連続で巨額の最終赤字を計上する見通しのため」と述べた。

電機連合は企業間格差を解消するため、来年に向けて統一交渉とは別に、各労組が個別に要求できる項目を強化していく考えだ。

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