2019年3月26日(火)

米アップル参入で花開く電子書籍市場
出版社や書店、著者の取り組み加速

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2013/3/14 7:00
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米アマゾン・ドット・コムが電子書店を開設してから4カ月が経過した。6日には米アップルも有料販売を国内で開始し、いよいよ日本でも電子書籍が本格的な普及期を迎える。売り場拡大を受けて出版社も取り組みを加速。電子書籍専用に書き下ろし作品を発売する動きが広がる。作家は読者拡大の好機とみて新たな表現方法を模索する。欧米より5年遅れとされる電子書籍市場が一気に花開こうとしている。

米アップルの電子書店「iブックストア」の画面。作家の村上龍氏はオリジナルの3作品を投入した

米アップルの電子書店「iブックストア」の画面。作家の村上龍氏はオリジナルの3作品を投入した

「アップルの電子書店向けの準備に1年半を費やした。アニメや音を採り入れた新しい形の小説を作りたかった」。作家の村上龍氏はアップルが「iブックストア」を開店するやいなや、でき上がったばかりのオリジナル作品を一気に3点も投入した。

アップルのタブレット(多機能携帯端末)「iPad(アイパッド)」の登場に表現の場として可能性を感じた同氏は、自ら電子書籍を刊行する会社を2010年に設立。数作品をこれまでに完成させたが、そこで得たアイデアを惜しみなく今回投入した。いずれも過去に発表済みの小説にデジタルならではのエッセンスを加えた。例えば「心はあなたのもとに」では重要な意味を持つメールの内容をポップアップさせてアニメで表示。「縦書きの小説を読み進める読者の意識を邪魔せずに、横書きのメールの文面を自然な形で見せられるか何十種類も試した」(村上氏)という。

大手出版社の角川グループホールディングス(GHD)はノンフィクション作品「Amazonの3.11」を電子書籍専用に7日に刊行した。さまざまな電子書店で買うことができる。アマゾンの電子書店「キンドルストア」の場合、ランキングは発売から6日がたったが11位と好調。人気の秘密は、書き下ろしだったことに加え文量が少ない代わりに100円にした大胆な値付けにある。

角川書店の菊池悟氏

角川書店の菊池悟氏

角川GHDが電子書籍向けに文芸で書き下ろし作品を投入するのは今回が初めて。この作品が第1弾に選ばれた理由は、東日本大震災後にアマゾンが行った復興支援活動の舞台裏をいち早く読者に届けたかったためだ。アマゾンが当時、IT(情報技術)を駆使して避難所にいる被災者に避難物資が届きやすくする取り組みに力を注いだことはあまり知られていない。

「防災意識が高まる3月11日前に読者に広く知ってもらいたかった。ただ企画が持ち上がったのが昨年12月。紙の書籍では新書なら6カ月はかかってしまう」(編集を担当した角川書店の菊池悟氏)。そこで電子書籍だけに刊行する前提で作業工程を見直したところ、2カ月で読者の手元に届けられることが分かった。通常の新書の4分の1程度の文量に抑えて"破格"の100円に設定。体裁や値付けの自由度が高い電子書籍の利点を生かし、多くの読者に買ってもらうことを優先した。

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