フォルクスワーゲンがこだわる「異形」の超低燃費車

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2011/2/15 7:00
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自伝で当時を振り返ったピエヒ氏は「1リッターカー開発のヒントは『ルポ』の3リッターカーにあった」と書いている。99年にVWが量産を始めた日本の軽自動車のような大きさの小型車だ。

小さくても中身は当時の最新技術がふんだんに盛り込まれた。アルミなど軽量な素材を多用し、3気筒のTDIでリッター34キロメートル、つまり100キロメートルを3リットルの燃料で走るクルマとして世界初のふれ込みで登場した。

その開発者が、VW傘下のアウディ出身で現在はVWを率いるマルティン・ヴィンターコーン社長。軽量化やディーゼルエンジンの技術革新は、ピエヒ氏が率いたアウディで種をまき、この師弟コンビがVWで開花させたといえる。

それでも3リッターカーは「販売台数ではたいしたことはなかった」(ヴィンターコーン社長)。そのため1リッターカーも長らくピエヒ氏の道楽といった評価の域を出ていなかったように思う。それが今、なぜ改めて出てくるのか。

09年にフランクフルトのショーで公開した2代目の「L1」

09年にフランクフルトのショーで公開した2代目の「L1」

今後の自動車は、PHVを含むハイブリッド車(HV)を経て、電気自動車(EV)や燃料電池車のようなゼロエミッションが主流になるとみられている。VWもEV開発を進めているが、まだいろいろなことを試そうとしているのだろう。

「XL1」で2気筒のTDIを搭載してディーゼルの技術を磨くのも、EVではまだ不安のある走行距離にこだわるのも、ディーゼル車で長い距離を走ることが珍しくない欧州市場で、最も多く車を売っているメーカーだからこそ意味があるようにみえる。

09年のフランクフルト国際自動車ショーで「XL1」の前身モデル、2代目の「L1」を実際に見た。初代と同様、前後に2つのシートを設置し、大柄のドイツ人が苦労して戦闘機のコックピットのような運転席に乗り込んでいた。

今回の3代目「XL1」は、VWいわく「誰もが親しむ並列の2座席」に進化した。コストがどれだけかかるのか、ピエヒ氏は販売価格などは明言していないが、VWがこの異形のクルマで何を得ようとしているのかが気になって仕方がない。

(産業部次長 後藤未知夫)

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