「青空文庫」一転曇り空? 作品数、大幅減の懸念
著作権切れの電子書籍 TPPで延長交渉浮上

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2013/7/21 7:00
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著作権が消滅した文学作品を無料で読める電子図書館「青空文庫」。その存在が今、揺れている。政府が環太平洋経済連携協定(TPP)の事前協議で、著作権の保護期間を現行の作者の没後50年から、米国の要求する同70年に延長する可能性が高まっているためだ。20年も延長されれば、青空文庫で今後扱える作品数が大幅に減少。青空は一転"曇り空"になってしまうのか。

「著作権の保護期間延長なんて絶対反対」「米国にすり寄るな」。著作権の保護期間延長について、ネット上では激しい反発の声が上がった。著作権の切れた小説や音楽コンテンツを扱って事業を営む企業や、文化資産のデジタルアーカイブに取り組む人々からも反対の声が上がる。なかでも、心配されているのが「青空文庫」の存在だ。

青空文庫は、著作権が消滅、もしくは著者が公開を許諾した作品のデータを収録したネット上の図書館だ。ボランティアが作品をテキスト・データ化し、これまでに約1万2000作品を収蔵する。利用に対価を求めていないため、国内大手電子書店の多くが、データを基に無料の電子書籍として活用している。

仮に国内で著作権の保護期間が20年延長された場合、次々と没後50年を迎える江戸川乱歩や三島由紀夫など有名作家のコンテンツの収録が危うくなる。青空文庫のコンテンツに依存していた電子書籍事業者にも打撃だ。青空文庫の呼びかけ人の一人、富田倫生氏は「秘密の外交交渉の場で決められることに強い違和感を覚える」と話す。

ではそもそも、著作権の延長問題は、どのような歴史をたどってきたのか。現在のところ日本における著作権の保護期間は小説や脚本、マンガ、音楽などが作者の没後50年、映画の場合は公表後70年だ。一方、欧米では作者の没後70年が主流となっている。

日本の著作権保護期間は海外に合わせ延長されてきた。戦後、著作物の保護期間は作者の没後30年だったが、1971年施行の法改正で映画が公表後50年、他の著作物が作者の没後50年となった。2004年施行の法改正では映画の保護期間が公表後70年に延びた。

TPPにからむ今回の論議は、映画を除く他の著作物の保護期間を70年にするというもの。著作権問題に詳しい市村直也弁護士は「バランスを考えると、映画の保護期間をさらに延ばす可能性も浮上する。今回の延長論議のインパクトは、映画だけの保護を延長した前回と比べてはるかに大きい」と指摘する。

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