シェール革命、「前のめる」日本 コスト低減、楽観は禁物

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2013/4/15 7:00
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米国を起点とする「シェール革命」に日本でも期待が高まっている。割安なシェールガスを米国から持ち込めば燃料コストは下がるはず。導入に向けた動きが加速する一方で、「前のめりすぎ」(エネルギー大手首脳)との声も上がる。シェールガスは何を変えるのか。その実力を冷静に見極めることが必要だ。

電力・ガス各社はシェールガス導入に動いている(東京電力富津火力発電所)

電力・ガス各社はシェールガス導入に動いている(東京電力富津火力発電所)

米国からシェールガスを輸入できれば、日本の液化天然ガス(LNG)の調達価格はどの程度下がるのか。日本政策投資銀行の試算がある。

それによれば、2020年時点の調達価格は現状と比べて最大15.2%安くなる。12年の調達費の総額(6兆円)にあてはめると、1兆円減らせる計算だ。しかしこれは理論上の最大値。実際はそう簡単ではない。

米国産のLNGが安いのは、米国の主要なガス価格の指標である「ヘンリーハブ」に連動して価格が決まるため。米国ではシェールガスの生産本格化でガス価格が下がり、原油価格に連動する日本のLNGの輸入価格に比べ3割安い。

15.2%とは、日本企業が関与する米国でのLNG事業に加え、20年までに締結するすべての契約(更改含む)を米国のガス価格に連動した価格で調達できる場合だ。その量はLNG輸入量全体の4割に相当する。

「新規契約なら米ガス価格に連動した契約は可能でも、更改の場合、他の売り先との関係もあり、価格決定方式の変更は難しい」(政策投資銀産業調査部の小野健介調査役)。仮に割安価格での調達が米国産LNGだけになると調達量は約1500万トン。価格の低減は6.8%にとどまる。これを15.2%へと近づけるには「政策的な支援が欠かせない」(同)。

6.8%すら楽観的との見方がある。「20年時点で米ガス価格連動のLNGの輸入量は1000万トンにいかない」と断言するのは商社関係者。米国産だけなら「400万~500万トン」と見る。

日本企業では中部電力と大阪ガス、住友商事と東京ガス、三菱商事と三井物産がそれぞれ、米国でLNGの輸出事業に取り組んでいる。米国政府から対日輸出の許可を得るのもこの3事業が有力とみられている。

注意しなければならないのは、これらの事業が生産量をすべて日本に持ち込むわけではないことだ。たとえば、テキサス州フリーポートで220万トン分のLNGの加工契約を締結した大阪ガスが、自社分として利用を決めているのは50万トン。残りは他社に供給するが、売り先は日本とは限らない。

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