2019年7月24日(水)

資生堂、前田会長が社長兼務 「改革」振り出しに

2013/3/11付
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資生堂は11日、末川久幸社長が31日付で退任し、前田新造会長が4月1日付で社長を兼ねる人事を正式発表した。記者会見で末川氏は、わずか2年での退任を「健康上の理由」としたが「四半期ごとの下方修正が精神的に重かった」と業績不振が一因だったことをのぞかせた。国内のテコ入れが進まず、けん引役の中国事業が想定外の失速に直面するなか、名門企業で何が起きていたのか。

「体調に不安を感じ、自分で考えて実行したくても体力的に続かない」――。記者会見で末川氏は、2月半ばに前田氏に進退について相談し、辞任を申し入れたことを明かした。社外取締役らでつくる「役員指名諮問委員会」が急きょ開かれ、前田氏を推挙。内定した人事は2月末、社長経験者の福原義春、弦間明、池田守男の3相談役に報告し、了承された。

前田氏の腹心で、2011年4月に昇格した末川氏は今月末で社長と取締役を退き、4月1日付で相談役に就く。突然の退任劇だが、病状は「普通に生活する分には入院までは必要ない」(末川氏)と説明。具体的な病名は「プライベートな問題」(前田氏)として明らかにしなかった。

52歳で社長に抜てきされた末川氏が大変な重圧の中で仕事をしていたのは事実。人口減や新規参入組との競争激化で、国内売上高は12年3月期まで6期連続マイナスと、約2割落ち込んでいた。昨年4月にインターネット通販事業に参入するなど立て直しを急いだが歯止めがかからなかった。

さらに昨秋の反日デモ以降、中国販売が10~12月期は約20%落ち込むなど追い打ちをかけた。このため1月末には主要拠点の1つ、鎌倉工場(神奈川県鎌倉市)の閉鎖など大型リストラ策を余儀なくされた。末川氏が体調不安を訴え始めたとするのはこのころからだ。

結果が出ず、今期は四半期ごとに業績の下方修正を繰り返した末川氏への風当たりは強まった。「体調もあるが能率的ではないことをしている」「ブランド力が失われている」など、OBらの間では業績低迷への危機感が高まっていた。

名門企業として知られる資生堂だが、2年前に鳴り物入りで社長に登板した若手エースをもり立てられず、在任2年で退任させることとなった。さらに前田社長が再登板するという異例の形。役員指名諮問委員会は「難局を乗り切るため社長経験者が最善」としたが、結果的には現在の人材の層の薄さを露呈した。

皮肉にも自分が敷いた路線を引き継ぐ前田氏。「私が(社長時代に)決めたことも否定するような厳しい改革も必要」と語るが、詳細は4月に示すとして明言を避けた。任期のメドは示さず「早く引き継ぎたい」と話した。会社を再び成長軌道に乗せ、後継者を早期育成できるか。再び続く前田流の経営に、今度は厳しい目が注がれる。

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