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出光などの地熱発電計画、地元に期待と不安 福島で説明会

出光興産などが福島県で計画する大規模地熱発電に地元で期待と不安の声が上がっている。国立公園内での採掘を認める規制緩和で増加が見込まれる地熱開発の試金石となるが、地元の温泉旅館などから慎重な声が相次ぐ。再生可能エネルギーの利用拡大と雇用増への期待もあるなか、開発側と地元がいかに共存を図るかが進展の鍵を握る。

11日、出光などが組織する「日本地熱開発企業協議会」が福島市内で温泉旅館などに調査計画を説明した。説明会は経済産業省・環境省と福島県が主催し、温泉事業者や自然保護団体の代表が参加した。

「温泉の枯渇や成分変化が本当にないのか」(高湯温泉の遠藤淳一・吾妻屋社長)「温泉側の意見が反映されないのは不公平だ」(日本秘湯を守る会・佐藤好億会長)

地熱発電所は2020年ごろの稼働を目指す。将来的には原発4分の1基分に相当する発電容量27万キロワットの大規模開発となるだけに参加者からは厳しい意見が相次いだ。

協議会は地元の同意を前提に、今夏にも福島市・二本松市西側に位置する磐梯朝日国立公園の地表調査を実施したいと説明。出光は国際石油開発帝石、三菱マテリアル、三菱商事など参加各社とともに調査を計画する。

計画の公表後、温泉事業者は警戒感を強めてきた。3月には福島・山形の温泉旅館経営者らが「磐梯・吾妻・安達太良地熱開発対策委員会」を設立。「原発も『安全だ』という触れ込みだった。悪影響がないと言われても信じられない」。地元旅館の経営者は訴える。

もっとも反対意見ばかりではない。経営難に苦しむ温泉旅館もあり「一定の賠償・補償があれば源泉を提供して廃業したいとの意見もある」と県内温泉街の組合長は声を潜める。

"脱原発"を掲げる福島県は40年に再生可能エネルギーで県内の電力をあまねく賄う目標を掲げる。地熱は有望な候補だ。原発事故を踏まえ成立した「福島復興再生特別措置法」でも地熱発電の規制緩和が盛り込まれた。県は開発をテコにした産業活性化をもくろむ。協議会は環境省などの試算をもとに1千億円の投資で2千億円の波及効果と1.6万人の雇用創出効果があると訴える。

環境省は3月にまとめた地熱開発の指針で、地熱開発業者は自治体や住民、温泉事業者との合意形成が必要と決めた。リスク管理や地元温泉街の振興策など判断材料を事業者側がどう提示できるかが焦点となりそうだ。

(震災現地取材班)

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