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黄金期へ再び「ジャンプ」 鳥山明氏、13年ぶり新連載

週刊少年ジャンプ創刊45周年

少年誌で首位を走り続ける「週刊少年ジャンプ」が11日、創刊45周年を迎えた。少子高齢化もあり、発行部数は1995年の約650万部をピークに12年は285万部と半減。しかも海外では海賊版が横行し、集英社を悩ませる。そこで黄金期を築いた「ドラゴンボール」の作者、鳥山明氏を13年ぶりに起用、新連載を始める。黄金期に再び"ジャンプ"できるか。

都内にテーマパーク、世界観楽しむ

「子供たちの熱い支援のおかげだ」。少年ジャンプの世界観を楽しめるテーマパークとして東京・豊島区に誕生する「J-WORLD TOKYO」。11日の開業式典であいさつした集英社の鳥嶋和彦専務は、感慨深げにこう語った。

同日に創刊45周年を迎えたジャンプは、日本のマンガ文化を支えてきた老舗雑誌。他誌が休刊や部数の大幅減という厳しい状況にさらされる中、2位の「週刊少年マガジン」の2倍の発行部数で、少年誌では一人勝ちとも言える状況。しかし黄金期にはほど遠い。

発行元の集英社は45周年を記念し、バンダイナムコホールディングスと組んで前述のテーマパークを開設。また7月13日発売号から、順次三つの新連載をスタートさせるなど、矢継ぎ早に強化策を打ち出す。

「銀河パトロール ジャコ」 (C)バードスタジオ/集英社

「少年キラー」の神通力期待

なかでも目玉と言えるのが、鳥山明氏が13年ぶりに連載を開始する「銀河パトロール ジャコ」だ。「銀河の彼方よりやってきた、銀河一誇り高き正義の使者、その名は…『ジャコ』」という文言でスタート予定。「作者チームは、暑い中で懸命にがんばってくれている」と、鳥嶋専務も期待を寄せる。

集英社が新連載に期待を込める理由は明白だ。単行本の累計発行部数が約3億本と巨大なヒットを飛ばす「ONE PIECE」があるにもかかわらず、雑誌自体の発行部数は伸び悩む。実はONE PIECEは意外と中高年に人気が高く、少年ジャンプのメインの10代の読者層と異なっていることが差を生んでいるとみられる。そこで登場する鳥山明氏。かつて「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール」で10代の心を鷲づかみにした"少年キラー"の鳥山氏の登用を決めた。

同社にはもう一つ喫緊の課題がある。海外ではびこる「海賊版」への対策だ。漫画コンテンツは世界中で不正スキャンされ、インターネット上に電子ファイルとしてアップされている。同社は毎月1万2000~1万4000の不正ファイルの削除要請を専門業者などを介して行っているが、「氷山の一角をつぶしているにすぎない」(業界関係者)という。過去には、「ONE PIECE」の不正投稿された電子ファイルが、数百万回再生された例がある。

集英社にとっては、削除業者への業務委託費がかさむ以上に、今後のコミックスの海外展開における不安材料となる。文化庁で進められている「電子書籍に対応した出版権」の議論に積極的に関わっているのも、海賊版対策のためだ。

とはいえ、電子書籍が本格普及する中、ネットに守り一辺倒ともいかない。8月からは、ジャンプ初となるスマートフォン(スマホ)向け増刊号アプリ「ジャンプLIVE」の電子配信も始まる。デジタル出版時代の新しい「週刊少年ジャンプ」を創る取り組みだ。銀河の救世主の活躍で「ビッグジャンプ」が飛び出るのか。熱い視線が注がれそうだ。

(蓬田宏樹)

[日経産業新聞2013年7月12日付]

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