2019年6月27日(木)

有機EL、九大が低コスト発光新材料 オール日本で巻き返し

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2013/1/14 7:00
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九州大学の最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)は2012年12月、低消費電力で超薄型のパネルができる有機EL用の第3世代の発光新材料を開発したと発表した。発光を効率化する分子を独自に設計し、電子を光にほぼ100%変換することに成功した。レアメタルのイリジウムなどを使わないので、材料コストを10分の1にできるとみている。日本は有機ELパネルでかつて世界の先頭集団にいたが、韓国のサムスン電子などに置いていかれた。新材料で日本は巻き返せるか。

OPERAはクリーンルームの設備を持つ

OPERAはクリーンルームの設備を持つ

OPERAは京都大、千葉大、北陸先端科学技術大学院大学などのサテライト機関と新日鉄住金化学、パナソニック、東京エレクトロン、ジャパンディスプレイなど14社が参加、メーカーの技術者が九大伊都キャンパス(福岡市)に常駐するオールジャパンの産学連携研究組織だ。

有機ELは電圧をかけると画素自らが発光するため、液晶のように後ろから照らす光源(バックライト)がいらない。このため消費電力が少なくより薄いパネルができる。省エネの優等生であり、動画などの表示に優れているとされる。

「ハイパーフルオレッセンス」と名付けた新材料は蛍光材料を使う第1世代、リン光材料を使う第2世代の両方の長所を併せ持つ。具体的には蛍光とリン光のエネルギーの差をなくす分子を作り、熱活性化遅延蛍光(TADF)と呼ぶ、新しい発光原理を実現した。発光効率は高いが材料価格が高いリン光のエネルギーを、安価だが発光効率の低い蛍光のルートで取り出す。

今回九大は緑色の光で内部の発光効率が100%に当たる外部発光効率20%を達成した。リン光では難しいとされる青色でも内部発光効率が50%程度になったという。数千時間の寿命を持ち、新材料を使った小型の有機ELパネルも試作した。

開発を主導する九大教授の安達千波矢OPERAセンター長は「こんな分子でいいのかというくらいシンプルな構造だが、自由に設計できる有機化合物は無限の可能性を持つ」と指摘する。

安達教授によるとTADFの考え方は「光化学の教科書に載っている」という。ただ、それを実現する分子を設計するのに苦労した。約10年前に着想したが、当初は効率がなかなか上がらず「論文を出しても世界で見向きもされなかった」という。

転機は09年。ある日、学生が「5.3%の外部発光効率が出ました」と駆け込んできた。これは蛍光材料の発光効率の限界である5.0%を超えており、TADFが一部実現したことを示していた。安達教授は「この分子構造の周辺の分子を一斉に当たれ」とメンバーに指示。それまで半信半疑の部分もあったが「5.3%が出たことでみんなを引っ張ることができた」と振り返る。

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