褐炭は世界の原料市場を変えるか
ガス化・化学合成で商業化めざす新日鉄エンジ

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2011/8/22 7:00
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東日本大震災以降、原子力に代わるエネルギーとして当面、本命の液化天然ガス(LNG)や、太陽光などの新エネルギーに注目が集まる。ただ、今も日本の発電電力量の約4分の1は石炭火力。ほとんどが輸入の石炭の資源確保に向け、未利用の低品位炭(褐炭)を活用しようと、日本の技術をオーストラリアで開花させるプロジェクトが進んでいる。

新日鉄エンジニアリングは新日本製鉄八幡製鉄所の敷地内に褐炭活用のパイロットプラントをつくり、高いエネルギー効率を実証。CO2の膜分離実験も行った(北九州市)

新日鉄エンジニアリングは新日本製鉄八幡製鉄所の敷地内に褐炭活用のパイロットプラントをつくり、高いエネルギー効率を実証。CO2の膜分離実験も行った(北九州市)

新日鉄エンジニアリングが中心となり、同国ヴィクトリア州で検討しているのは、褐炭を2階建ての炉でガス化し、合成天然ガス(SNG)やメタノール、水素などをつくる計画だ。地元で利用するほか、日本に輸出する。

日本での実験で世界最高の85%のエネルギー変換効率にメドをつけ、オーストラリアで商業化を目指す。来年度から1日200トン~300トンの石炭を投入する実証炉の設計に入り、2016年度にも稼働させる。実証後はそのまま商業運転に入る予定だ。並行して同1000トン以上の大規模な商業プラントを18年度から建設し、21年度から運転に入る計画だ。

昨年、千代田化工建設と事業化調査をする共同出資会社を設立した。現在はオーストラリア連邦政府、州政府、日本の石炭エネルギーセンター、経済産業省石炭課などと、採算性などを詰めている。商業化をにらみ、日本の都市ガス会社や化学メーカー、産業ガス会社などがワーキンググループに参加し、日本に輸出する場合の受け手として市場性などを検討し始めた。

新日鉄エンジの水野正孝戦略企画センタークリーンコール事業推進部長は「商業化段階では日豪企業によるコンソーシアムをつくり、資源開発から製品に至る一貫したバリューチェーンを構築する」と語る。

同社が開発したECOPRO(エコプロ)と呼ぶ技術は「石炭部分水素化熱分解技術」と呼ばれ、2階建ての下の炉に褐炭を細かく砕いて入れ、酸素を完全燃焼に必要な量の半分程度吹き込み、セ氏1300~1500度程度で部分酸化反応、いわば不完全燃焼を起こす。

上の炉にも褐炭を入れ、下の炉で発生する高温のガスで熱分解し、メタンなど様々なガスを取り出す。下のガス化炉で発生する熱エネルギーを上の炉で利用するのが高効率の秘訣だ。

このガスからSNG、メタノール、アンモニアなどを化学合成し、実証炉では地元に供給、商業炉ではSNGを液化してLNGや、水素、メタノールなどの形で日本に船で運び、発電燃料や化学原料として使う構想だ。

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