自動車開発、部品もEVも「パソコン流」に 日経ものづくり編集委員 木崎健太郎

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2012/9/11 7:00
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パソコンやデジタル家電に代表される「組み合わせ型」の仕組みを「擦り合わせ型」の典型とされる自動車に持ち込む動きが広がってきた。標準化されたモジュール部品を組み合わせて製品を設計するというもので、自動車メーカーはもちろん、いまや部品メーカーにも及んでいる。さらに今後は電気自動車(EV)でもモジュール化設計が主流になるとみられている。

マツダはいち早くモジュール化設計による車種を製品化。独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車、日産自動車も次々とモジュール化設計の採用を宣言している。

マツダのCX-5。2015年までに発売予定の8車種に共通する「コモンアーキテクチャー」に基づいて開発した

マツダのCX-5。2015年までに発売予定の8車種に共通する「コモンアーキテクチャー」に基づいて開発した

マツダの新型SUV「CX-5」には「従来の車種と全く異なる開発手法」(マツダの金井誠太副社長執行役員)が使われている。2015年までに発売する8車種をまとめて企画し、そのうちの1つとしてCX-5を開発したのだ。同時に、8車種に共通するエンジンや変速機、車両骨格といった主要なモジュールも開発した。マツダはこの共通モジュールによる構成を「コモンアーキテクチャー」と呼んでいる。

コモンアーキテクチャーでは技術や部品を標準化することにより、それらの組み合わせで車両の開発を可能にした。マツダの狙いは製品開発を極限まで効率化することだ。これまでは車種ごとに必要な技術や部品をその都度設計していたが、複数車種に共通なものを少数設計すれば済むようにした。

もちろん、車種の枠を超えて技術や部品を共通化しようとする試み自体はこれまでもあり、その代表格が、車両の土台となる「プラットフォーム」の流用だった。しかし、あくまで個別に設計したものの流用にすぎないため、実際には全く同じものを使えるわけではなく、車種ごとにさまざまな調整が必要になっていた。当然、生産設備も全く同じというわけにはいかず、車種ごとに差を設けざるを得なかった。

「スカイアクティブ」では理想的といえる直線的な構造を実現。従来は既存ユニットを流用するため、フレームが不自然に曲がっていた

「スカイアクティブ」では理想的といえる直線的な構造を実現。従来は既存ユニットを流用するため、フレームが不自然に曲がっていた

コモンアーキテクチャーの画期的な点は、従来とは逆に「以前の技術や部品を流用する必要はないという指示を出した」(金井副社長)ところにある。技術や部品を流用しようとすると、そのことがむしろ制約になって共通化が思うように進まなかったためだ。実際、新しい共通モジュールはほとんどが新規に開発・設計したものだった。単に共通で使えるというだけではなく「車両全体において理想的な設計を追求できた」と金井副社長は振り返る。

例えば、車両骨格に用いるフレームはなるべく直線形状が望ましい。屈曲部分があるとそこに負荷が集中するからだ。しかし、従来はエンジンやシャシーなどのユニットを避けるために、どうしても屈曲させる必要があった。これらのユニットは流用していることが多いので、フレームの形状を大幅に変更するのは難しかったのだ。コモンアーキテクチャーとして開発した車両骨格「スカイアクティブ」ではこうした制約をなくし、フレームの形状も含めて全面的に刷新した。

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