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ロボット技術で農作物 自ら「賢く」
日経ものづくり編集委員 木崎健太郎

(2/2ページ)
2013/2/12 7:00
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 東京農工大学は長年にわたってブルーベリーの研究を続けており、農学部キャンパス内にブルーベリー専用の実験的植物工場を持つ(図2)。この植物工場は四季の環境を再現した複数の部屋を持ち、ブルーベリーの木を各部屋に移動させることで、生育を促進する仕組みになっている。既に、各部屋の環境の制御と移動のタイミングによって、「1年間に2回の収穫期を迎えるようにできたり、あるいは1年中開花と結実を継続させたりすることによって、自然界の何倍もの収穫量を得られるという研究成果を得た」(同大学院教授で副農学府長・先進植物工場研究施設長の荻原勲氏)。このロボットは部屋の間の移動に使えるが、その際に決められた順番で部屋を移るだけではなく、自らの状態に応じて最も適した環境の部屋を選べるようになる。

図2 東京農工大学のブルーベリー専用植物工場。複数の部屋がそれぞれ、各季節の環境に調整されている
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図2 東京農工大学のブルーベリー専用植物工場。複数の部屋がそれぞれ、各季節の環境に調整されている

 もっとさまざまなセンサーを備えて、例えば水分量、質量、二酸化炭素量、実の色などを検知できるようにした上、判断ロジックを高度化させれば、光合成の最適化以外にもさまざまな可能性が見えてくる。水分量が不足してきたら自ら水源の場所に移動したり、具合の悪いときに診断を要求したり、といったことだ。農作物単体のきめ細かな管理が可能になるメリットがあるのはもちろんだが、表現を変えれば「水を飲みに行く」「医者に行く」といった、動物や人間並みの行動を取れることになる。

 さらに、作物を集団として管理することもできる。例えば、相互に譲り合いながら代わる代わる日なたに出たり、病気の情報を互いに共有して感染拡大を防いだりすることで、全体での収穫量最大化を図れる。ここまで実現できれば、いわば家畜の群れに等しい。植木鉢ロボットを放つ土地も、畑というよりも、牧場という方が近いかもしれない。

 このロボットの実用化までにはコストをはじめ解決すべきことは多いが、農業におけるものづくり技術の大きな可能性を示す研究と言える。古生代以来何億年も続いた「植物は動かない」という常識さえ、ひっくり返せるかもしれないのである。

(関連記事を日経ものづくり2月号に掲載)


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