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動き出す環境配慮型都市 トヨタやイオン、地域と連携

日経エコロジー編集部 相馬 隆宏

各地で自治体や企業などが連携して開発を進めているスマートコミュニティー(環境配慮型都市)が動き出した。重要な役割を担うのが、工場や商業施設といった、地域のシンボルとなる施設である。

トヨタ自動車などが東北復興支援の一環として宮城県大衡村で立ち上げたのが、工業団地を中核としたスマートコミュニティーだ。トヨタの豊田章男社長は「工場を中心とした新たな地域連携モデルを、東北から発信していきたい」と話す。

トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場。太陽光パネルや大型の自家発電設備を導入した

「カローラ」などを生産するトヨタ自動車東日本の宮城大衡工場に、出力7800キロワットの大型ガスエンジンコージェネレーション(熱電併給)システム、出力740キロワットの太陽光発電システムを設置。発電した電力を同工場で使用するとともに、隣接する植物工場や部品メーカーなどにも供給する。4月からトヨタ自動車東日本、トヨタ輸送、ベジ・ドリーム栗原(宮城県栗原市)など5社へ供給を開始した。

最大の特徴は、コージェネの排熱を有効利用していること。自動車工場の塗装工程で使う蒸気や、植物工場の暖房用温水などに充てている。電力と熱を無駄なく使うことにより、工業団地が使用するエネルギーの70%を賄う。

来年度からはエネルギーの供給先を7社に拡大する。2015年に同規模の工業団地と比べて23.3%の省エネを見込む。このときの二酸化炭素(CO2)の削減効果は29.1%に達する。

電力需要の低い時間帯は、発電した電力で定置型蓄電池やプラグインハイブリッド車を充電。非常時には電力を東北電力に販売し、大衡村役場など地域の防災拠点に供給する。

イオンが3月15日に改装オープンした北九州市のイオンモール八幡東。周辺の住宅を含む地域全体で省エネを推進するスマートコミュニティーの要の施設となる。

北九州市はスマートコミュニティー実証事業の一環として、日中の最大使用電力を抑えるピークカットを実施する。電力料金を需給に応じて変える「ダイナミックプライシング」を導入。需給が逼迫しそうな場合、ショッピングセンター(SC)が司令塔となり、テナントの店舗や一般家庭に節電を促す計画である。

 スマートメーター(次世代電力計)を活用して、店舗ごとに空調や照明などの電力使用量を測定する。各店舗はタブレット(多機能携帯端末)で実績を把握し、電力需要がピークになる時間帯にそれぞれの状況に応じて節電する。

家庭に対しては、SC内に設置したデジタルサイネージ(電子看板)で、SCのエネルギー使用状況や電力料金が高くなる時間帯などを来店客に伝える。さらに、割引クーポンやエコポイントといったインセンティブ(誘因)を提供して来店を促す。電力を使わない留守宅が増えることで、地域の電力需要を抑えられる。

イオンモール八幡東の来客数は年間988万人。東京ディズニーリゾートの入園者数の3分の1に匹敵する。来店客と一体となって取り組めば、相当な節電効果が期待できる。

東日本大震災以降、原子力発電所の停止により、電力の供給不安が続く。火力発電の燃料費高騰や再生可能エネルギー電力の固定価格買い取り制度などによって、電気料金は値上がりする傾向にある。

環境負荷の低減だけでなく、エネルギーの安定供給確保とコスト抑制の面からもスマートコミュニティーへの期待は高まる一方である。エネルギーを大量に使う工場や地域住民が集う商業施設を軸に、防災の視点も取り入れた次世代の街づくりは、新興国などでも需要を開拓できそうだ。

[日経産業新聞2013年5月10日付]

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