「涼宮ハルヒ」にアジアが行列 出版各社が攻勢
小説、5カ国・地域で同時発売

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2011/6/12 15:43
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アジア同時発売に先駆けるように、角川GHDは昨年5月、中国・広州に49%を出資する合弁会社を設立した。これまでライトノベル70タイトル以上を翻訳・出版し、市場の大きさは確認済みだ。今後は涼宮ハルヒ関連のオリジナルの雑誌の創刊や、キャラクターグッズを発売する計画もある。「将来的には、新刊と同時に電子書籍も世界中で販売する展開も検討したい」(井上氏)

「涼宮ハルヒ」の発売日、書店の前で行列を作る若者ら(香港)

「涼宮ハルヒ」の発売日、書店の前で行列を作る若者ら(香港)

講談社は4月、香港と台湾で現地の出版社と組み、女性誌「グラマラス」の提携誌を始めた。いずれも日本版の翻訳部分が7~8割、現地オリジナルの記事が2~3割ほどの部分を占めている。同社はこれまでも台湾、香港、中国、タイの4地域で「ViVi」「VOCE」「with」など主力女性誌を展開しており、なかでも中国版ViViは年間100万部近くを売り上げている。

■「月光族」が支持

中国版ViViは19~25歳をターゲットにしており、流行に敏感な「月光族」(貯金をせず、毎月の収入を使い果たす若者たちを指す中国語)に支持されているという。同社の野間省伸社長は「デジタル化に並んで、コンテンツの海外展開は重要な戦略の一つ」と話しており、今後も電子版を含めた人気コンテンツの"輸出"を進めていく方針だ。

集英社は5月15日から、中国・杭州で発行されている新聞「銭江晩報」で人気漫画「ONE PIECE」の連載を始めた。第1話から掲載し、連載期間は未定という。

同作は累計発行数が2億冊を超えた国内有数の大ヒット漫画。中国でも600万部を販売している。漫画の出版を手がける中国の出版社と、今回の新聞社がグループ会社だったため掲載を許諾した。「中国での普及と、市場拡大につながれば」(集英社)と狙いを話す。

涼宮ハルヒもONE PIECEも、出版社にとっては業績をも左右しかねないキラーコンテンツの一つ。ただ国内だけをターゲットにしていては、今後大きな市場拡大は期待できない。官主導の「クール・ジャパン」に後押しされるまでもなく、成長が期待できるアジアへの展開を急ぐのは、各社にとって必然的な流れなのかもしれない。

(砂山絵理子)

[日経産業新聞2011年6月10日付、一部加筆]

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