2017年12月17日(日)

「日本一暑いまち」のデータ拠点 知恵で乗り切る節電の夏

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2012/6/11 7:00
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 群馬県館林市。昨年、全国で一番暑い地点となった日が15回を数え、国内最多だった「日本一暑いまち」に、富士通の戦略拠点「館林システムセンター」がある。データセンターサーバーなど大量のIT(情報技術)機器の稼働と冷却のために大量の電力を使う。同センターは「節電の夏」を乗り切れるのか。

 6月1日。昼過ぎに東武鉄道館林駅に降り立つと、駅前の温度計は26度を指していた。少し歩くと汗がにじむ陽気。市庁舎前には夏到来を前に、今年も特大の温度計が設置された。

 館林市は2007年夏に最高気温40.3度を記録したこともある。市役所のウェブサイトには「日本一暑いまち館林市『熱中症予防ホームページ』」と銘打ったコーナーがあり、市民に注意喚起している。

 「日本一暑いまち」にあるデータセンターは他の地域より、冷却に必要な空調の電気代が多くかかるはず。全原発の運転が停止し再稼働の行方も不透明ななか、電力不足の懸念から節電の必要性は高い。センターはこの夏の節電を乗り切れるのか――。

 答えは「イエス」といえる。2009年に稼働した新棟は、電力をできるだけ使わずにサーバーを冷却する工夫が満載だ。

富士通はサーバー室の出入り口にカーテンを設けた

富士通はサーバー室の出入り口にカーテンを設けた

 例えばサーバー室。サーバーは前面から取りこんだ22~23度と低温の空気でCPU(中央演算処理装置)を冷やし、30度まで上昇した暖気を後ろから排気する。サーバーの前面の通路を「コールドアイル」、後面の通路を「ホットアイル」に分断。冷気と暖気が混ざらないようにして、コールドアイルだけに冷気を送ることで、空調に必要な電力を少なくしている。冷気と暖気が混ざって温度が上昇した部屋全体を冷やそうとすると、多くの電気代が必要になってしまうためだ。

 もうひとつのポイントは「フリークーリング」だ。空気を冷やすのに必要な8度の冷水は通常、ターボ冷凍機を使ってつくっている。だが、冬場は屋上にある冷却塔で冷たい外気を取り入れ、ターボ冷凍機を使わずに冷水をつくることができる。これがフリークーリングだ。ターボ冷凍機は電動のため、外気温が低い時期はこの分の電気代が減る。

 データセンターの電力効率を示す「PUE」という指標がある。データセンター全体の消費電力を、サーバーなどIT機器の消費電力で割って算出する。空調などIT機器以外で電力をたくさん使うほど、PUEは悪くなる。

 新棟のPUEは1.6。一世代前のデータセンターのPUEは2前後。つまり、IT機器の稼働と同じ量の電力を空調に使っている計算だ。新棟は様々な節電対策を施したことで、PUE値を大幅に下げているのだ。

 「サーバーの設置台数が増えれば、PUEは1.5まで下がる」。船木文雄・館林センター長は語る。寒冷地の北海道にある最新データセンターの1.1台には及ばないものの、首都圏のデータセンターとしては良好な値だ。新日鉄ソリューションズが東京都三鷹市に開設したデータセンターもフリークーリングの採用で、1.4以下を実現している。

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