2019年3月19日(火)

半導体技術者が育てるレタスの味は? 「畑違い」富士通の挑戦

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2013/8/12 7:00
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富士通グループが「植物工場」の運営に乗り出す。休眠中の半導体工場を転用し、腎臓病患者が安心して食べられる低カリウムレタスを栽培する。かつて世界をリードした半導体の技術者たちが、今度は「農業の工業化」に挑む。富士通がなぜ、農業なのか。

「どうやったらコストが下がるだろうか」――。

低カリウム植物工場の様子

低カリウム植物工場の様子

植物工場の事業主体は富士通ホーム&オフィスサービス(富士通H&O、川崎市)。舞台は富士通セミコンダクターの会津若松工場(福島県会津若松市)だ。毎週金曜日、両拠点をつないで開催するテレビ会議は毎回、事業化に向けた議論で白熱する。

会津若松工場は半導体事業の主力拠点だったが、事業縮小に伴い、2012年3月に「2番館」と呼ばれる建屋の生産ラインを停止した。今回、その2番館のクリーンルームを野菜工場に転用する。

■潜在市場大きい低カリウム野菜

生産するのは、カリウム含有率の低いリーフレタスだ。秋田県立大学の持つ特許を使い、低カリウム野菜の事業化で先行する会津富士加工(会津若松市)からノウハウの提供を受け、10月に試作を開始。14年1月から量産出荷を始める。

低カリウム野菜は、カリウムの摂取制限がある透析患者、腎臓病患者も安心して食べられる野菜だ。カリウムは野菜の生育に欠かせない要素で、どの野菜にも含まれる。摂取制限がある人は野菜を湯がいて食べる必要があり、生食は禁物だが、低カリウム野菜ならサラダが食べられる。

富士通によると、国内には透析患者は30万人、慢性腎臓病患者は1330万人。世界には推定6億人の腎臓病患者がいる。低カリウム野菜の潜在市場は大きい。しかも、生産しているのはごく一握りの企業だけで、富士通が参入しても野菜農家の市場を奪うこともない。「会津若松工場の有効活用策になるし、東北の復興支援にもなる」(富士通H&Oの今井幸治社長)と、参入を決めた。

生産の現場で先頭に立つのは半導体の技術者たちだ。富士通H&Oの野牧宏治・先端農業事業部企画部長は、富士通セミコンダクターで半導体工場の環境配慮計画の策定や、製造工程の省エネ化などに取り組んできたが、植物工場の立ち上げに伴い、富士通H&Oにやってきた。会津若松工場の製造部長も引っ張り込んだ。

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