iPhone4S商戦、月額570円差・通信品質で2社攻防
KDDIとソフトバンク、店頭予約はや盛況
KDDI(au)とソフトバンクモバイルは7日、14日に発売する米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)4S」の料金などを発表した。焦点の定額データ通信料金はKDDIが月4980円に設定、現行料金と同じソフトバンクに比べ570円高い。まずは価格とつながりやすさのアピール合戦となりそうだ。
「我々ができる精いっぱいの料金体系にした」。7日、都内のソフトバンク本社で会見した孫正義社長は強調した。2年間の継続利用を前提にした端末価格はKDDIより高いが、通信料金を含めた月々の支払いはソフトバンクが安くなる。さらに旧モデルの「3G」「3GS」の利用者が「4S」「4」に実質無料で機種変更できるようにする販売促進策なども導入する。
通信品質の高さを訴えるKDDIはひとまずデータ通信料金の大幅な引き下げによる消耗戦を避けた格好だ。NTTドコモを含む携帯各社との交渉でアップル側は4000円台のデータ通信料金を要請したとみられる。KDDIは米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載端末など幅広く商品を展開しており、他のスマホのデータ通信料金(月5460円)との価格差を抑えた面もあるようだ。
採用する通信方式が異なるため通信速度の理論値はソフトバンクの最大毎秒14.4メガ(メガは100万)ビットに対し、KDDIは同3.1メガビット。ただ電波の混雑状況などによって実効速度は変わる。KDDIの端末が上回る可能性もある。

東京・表参道にあるソフトバンクの旗艦店には7日の午後4時の予約受け付け開始時に約230人が並んだ。東京・池袋のauショップ池袋東口でも開始時に約40人が集まるなど関心は高い。
家電量販店の店頭にも多くの購入客が訪れた。ビックカメラ有楽町店(東京・千代田)では午前10時から整理券を配布。先頭に並んでいた東京都世田谷区の男性会社員(36)は「14日の発売当日に手に入れられそうでほっとしている」とうれしそう。同店では「昼には当日の予約受付枠がなくなった」(ソフトバンクモバイルの販売員)。東京・秋葉原のヨドバシカメラでも開店後1~2時間で「300以上あったKDDIの7日分の予約枠がなくなった」(販売員)という。

7日の株式市場ではソフトバンク、KDDIとも株価が上昇した。市場では「契約獲得の面でソフトバンクが有利」(クレディ・スイス証券の早川仁リサーチアナリスト)との見方が広がる。ただ、販売状況次第でKDDIが価格競争に乗り出す可能性がある。「ソフトバンクも事実上の独占販売ができなくなり、消耗戦を余儀なくされる」(カブドットコム証券の河合達憲チーフストラテジスト)との声もある。
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