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なぜ楽天は優秀な中国人学生を採用できるのか

編集委員 西條都夫

楽天の執行役員、何書勉(ほう・しゅうめん、32)さんは中国・上海から日本に留学し、同志社大学と京都大学でコンピューターサイエンスを勉強した。楽天に入社してからはエンジニアとして活躍する一方で、もう一つ重要な任務を任された。中国人学生の採用である。

中国人学生の面接風景(左が何さん)

「グローバル採用」は今や日本企業にとって一種の流行だ。気の利いたメーカーや商社なら、ほぼ必ず外国人の採用枠がある。ユニクロを展開するファーストリテイリングのように、日本人250人に対して、外国人1050人を採用(2012年計画)という事例も現れた。

だが、採用計画を掲げることと、現実に優秀な人材を獲得することは別の話だ。その点で楽天では何さんが採用活動の軸になり、中国人理系学生の採用で成果を挙げている。中国の大学は実際にプログラムを書く訓練を重視しており、日本人学生と比べてもプログラマーとして即戦力性が高いのが魅力だ。

そんな中国人学生が09年には5人、10年は15人入社し、11年も15人が門をたたく予定。そのうち多数は北京大学や清華大学といったトップ大学の出身者。日本企業の人気が必ずしも高くないとされる中国で、なぜ楽天は優秀な学生を採用できるのだろうか。

理由1 入社試験を面白く。

何さんによると、採用試験に出す問題にはアタマをひねるという。ここで学生の知的好奇心を刺激する問題を出せば、それが学内のネット掲示板などで評判になり、学生の間で評価が上がるという。何さんが実際に作問したなかで、自分でも気に入っている問題はこうだ。「ここに100段の階段があります。一歩で1段か2段か3段進むとして、100段登り切るパターンは何通りありますか。この問題を解くプログラムをできるだけ短い行数で書きなさい」――。さて皆さんはこの問題を解けるだろうか。

理由2 入社後2~3年は日本で働く。

IBMやマイクロソフトからも内定を得た学生がそれを蹴って、楽天を選ぶ。あるいは中国の検索エンジン最大手のバイドゥを辞退し、楽天に――。こうしたケースが過去に実際にあったが、その理由が「日本で働ける」ということだ。楽天は採用した中国人学生は全員最低2~3年は日本で働いてもらう。本社近くでマンションを1棟借りして、いわば学生寮のような住環境を整えている。何さんによると、「外国で仕事をすることに夢を持つ若者は多い。東京で仕事できるのは、アピール度が高い」という。

理由3 「発展空間」の提示。

自分がどうやってキャリアアップしていくか、それを中国では「発展空間」と呼ぶ。日本企業が中国に限らず優秀な外国人の採用・引き留めに苦労するのは、人事制度が日本人中心で、外国人に適切なキャリアパスを提示できないからとされる。この点で何さんが執行役員として楽天で活躍している事実は、同胞学生にとっては頼もしく映るだろう。

同時に採用面接は必ず何さん自身が実施し、学生の疑問点、不安に思う点については丁寧に答えるという。このため何さんは北京のコンピューター専攻の学生の間でちょっとした有名人で、何さんが採用活動で訪中するとあちこちのブログなどで話題になるという。

楽天は昨年10月、中国版「楽天市場」の「楽酷天」をオープンした。中国での事業強化のためにも、人材の獲得は欠かせない。一方で昨年秋の尖閣事件のように日中関係が緊張すると、1度エントリーシートを提出しても、その後楽天からの呼びかけに反応しなくなる学生が現れるなど政治の影響は皆無ではない。しかし、「今の時期、うちを志望してくれる学生は本当に楽天に魅力を感じてくれていると思う」と何さんは言う。

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