中国の大気汚染問題、解決阻む国有企業の既得権益

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2013/2/9 7:00
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北京周辺など中国で発生した大気汚染が福岡市はじめ日本にも影響を広げている。汚染の状況はかなり深刻で、中国では健康被害が出る恐れが高く、当局は外出を控えるよう呼びかけている。汚染の中でも今回、問題になっているのは「PM2.5」と呼ばれる微小粒子状物質であり、肺がんやぜんそくなど呼吸器系に害を及ぼすといわれる。

モータリゼーションの急進展も大気汚染の要因の一つ(北京市内)=共同

モータリゼーションの急進展も大気汚染の要因の一つ(北京市内)=共同

中国の大気汚染は1990年代半ば以降、深刻化しており、中国の新聞には全国の大気汚染情報が毎日、掲載されているほどだ。ただ、汚染の内容は大きく変化している。かつては最大の汚染源は石炭火力発電所で、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が最も深刻な問題だった。酸性雨などの原因となるもので、中国各地の湖沼が酸性化し、魚など生物が激減した所も少なくなかった。

中国政府は90年代にはごく一部の火力発電所にしか装備されていなかった脱硫、脱硝設備を各発電所に設置するよう義務づけ、今では一定規模以上の発電所の大半には脱硫、脱硝装置を完備している。その結果、NOx、SOx対策については十分ではないにせよかなり前進がみられた。

代わって、この4、5年目立ってきたのがPM2.5であり、その発生源は自動車とりわけディーゼルトラック、バスといわれる。欧州や日本ではディーゼルエンジンが劇的に進化し、排ガスはきわめてクリーンになった。だが、古いエンジンをそのまま搭載したトラックが多数走り回り、ディーゼルエンジンの技術開発も進んでいない中国ではディーゼルエンジンが大気汚染の主要な原因になっている。

中国は高速道路の建設が進み、総延長が9万キロを突破する一方で、鉄道建設は近年、高速鉄道など旅客輸送中心に進められたため、国内物流はトラック輸送が急膨張している。様々な物資が運ばれるなかで、火力発電所向けの石炭輸送は大きな比重を占める。産炭地の山西省や内モンゴル自治区から北京、上海などに向け、本体と後ろに補助トレーラーをつけた20トン積みの大型トラックが長距離を走っている。

数年前には火力発電の需要ピークの夏場に山西省から北京まで石炭輸送のトラックを中心に100キロの長さで車が連なる大渋滞も起きた。石炭火力発電の脱硫、脱硝は進んでも、石炭輸送のトラックが大量のPM2.5を排出するために中国の大気汚染は収まるどころか、別の方向で深刻化している。

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