2019年7月24日(水)

中国の大気汚染問題、解決阻む国有企業の既得権益

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2013/2/9 7:00
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モータリゼーションの急進展ももちろん大気汚染の悪化につながっている。09年から連続4年、中国は世界最大の自動車市場になっており、昨年は乗用車、商用車の合計で1930万台の車が販売された。保有台数は1億2000万台に達している。急激に自動車が増加したことで、北京、上海など大都市はもちろん地方の省都クラスの都市はどこでも毎日朝夕には大渋滞が発生しており、それが排気ガスによる汚染を拡大している。

中国の物流ではトラック輸送が中心的な役割を担っている

中国の物流ではトラック輸送が中心的な役割を担っている

とすれば、中国の大気汚染の解決にはまず、トラックのディーゼルエンジンの進化、古いエンジン搭載車の廃棄などが不可欠だ。しかし、主要なトラックメーカーには新規投資なしで利益を生む現状のトラックを改良するインセンティブがない。トラックメーカーには第一汽車、東風汽車など名門の国有企業が多く、政治力も強い。ディーゼルエンジンの排ガス規制を強化すれば、技術力の高い米欧日のメーカーを利するという警戒感があるため、なかなかディーゼルエンジンの改良が進まない。

一方、燃料にも問題がある。ディーゼル用の軽油では日本や欧州は規制を段階的に強化し、汚染物質がほとんどない段階までクリーンになっている。だが、中国では硫黄分などの規制が緩いままだ。国内の石油製品販売は中国石油天然気集団(CNPC)と中国石油化工集団(シノペック)の2社が握り、両社ともきわめて強力な政治力で燃料の環境規制強化をブロックしている。規制が高められれば、精製設備の改良、更新などで莫大なコストがかかるからだ。

中国の大気汚染の背景にはディーゼルエンジンと燃料のイノベーションという課題があるが、それを達成するには大手国有企業の既得権益を打破するという政治の問題がある。中国の大気汚染は一筋縄では解決できない。

(編集委員 後藤康浩)

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