日航、パイロット700人超削減
銀行団、実効性疑問視も
日本航空が人員削減を前倒しし、聖域とされてきたパイロットまで775人と人数を示して削減に踏み込む背景には、6月末の期限の更生計画案の取りまとめに向けリストラを徹底する姿勢を銀行団に示す必要があるためだ。
更生計画認可後は減資と支援機構による約3000億円の増資に加え、つなぎ融資の借り換えや航空機購入のための融資を銀行団とまとめる必要がある。再融資が得られない場合、更生計画はとん挫し清算(2次破綻)に追い込まれる可能性も否定できない。日航経営陣と支援機構は銀行団との調整に最大の神経を使っている。
人員削減は不採算路線の縮小と表裏の関係にもある。10月以降の国際線16路線、国内線31路線からの撤退と老朽機退役で年間430億円以上のコスト削減を見込む。これで発生する余剰人員を並行して削減しなければ赤字がかえって膨らむ。
今回のリストラ案はこうした危機感の表れと言えるが、日航の厳しい労使関係を考えると危険な賭けでもある。労組の強い反発が予想され、銀行団などからは実効性に疑問の声が上がる可能性もありそうだ。