2018年8月16日(木)

米GE イメルトCEO 原発“見切り”発言の衝撃度 編集委員 安西巧

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2012/8/7 7:00
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 米ゼネラル・エレクトリック(GE)最高経営責任者(CEO)、ジェフ・イメルト氏の原子力発電に対する発言が話題になっている。東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに原発のコスト上昇が見込まれる一方、多くの国が地中深くの岩盤から採取する新型天然ガス「シェールガス」や風力に発電用エネルギー源をシフトすると予見。原発は「(経済的に)正当化するのが非常に難しい」と英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビュー(7月30日付記事)で語った。2011年9月に独シーメンス社長、ペーター・レッシャー氏が独誌シュピーゲルのインタビューで表明した「原発事業撤退」に続く米欧電機大手トップの衝撃発言。「選択と集中」の本家ともいえるGEの“変わり身の早さ”は、原発事業のパートナーである日立製作所をはじめ日本勢の経営戦略にも影響を与えずにはいられない。

米ゼネラル・エレクトリック(GE) 会長兼最高経営責任者(CEO)のジェフ・イメルト氏=共同

米ゼネラル・エレクトリック(GE) 会長兼最高経営責任者(CEO)のジェフ・イメルト氏=共同

 イメルト氏が世界のエネルギー情勢を展望した上で強調したのは米国でのシェールガス革命、日本における福島原発のメルトダウン(炉心溶融)、再生可能エネルギーの価格下落――の3点。具体的には、天然ガスはシェールガス革命で10年来の安値水準で推移しており、原発産業は「福島」後の追加コストと不確実性に直面、そして太陽光パネルは過去3年間で75%値下がりした結果、数カ国で小売り電力として価格競争力を持ちつつあるとFTの記事は言及している。

 GEは7月に主力のエネルギー・インフラ部門の組織再編を発表したばかり。従来同部門の事業を統括していた「GEエナジー」(売上高500億ドル、人員10万人)を廃し、新たな社内分社として「GEパワー・アンド・ウオーター」(280億ドル、4万1000人)「GEオイル・アンド・ガス」(150億ドル、3万3000人)「GEエナジー・マネジメント」(70億ドル、2万7000人)の3社を年内に発足させる。「階層を減らすことで集中力、機動力を高める」(イメルト氏)方針で、同部門の業績を一段と伸ばし、欧州危機に端を発した航空機エンジン事業や医療機器事業の不振をカバーするのが狙いのようだ。

米GE製のスマートメーター

米GE製のスマートメーター

 中国、インド、ブラジルをはじめ新興国の経済成長などによる世界的な電力需要の拡大を背景に、GEは前述した火力発電用ガスタービン、風力発電用風車、さらにスマートグリッド(次世代送電網)技術を生かした広範な電力インフラ設備などの一括受注を狙い、世界市場で攻勢をかける体制を固めたとみられる。

 7月20日に発表したGEの12年4~6月期決算は、売上高が前年同期比2%増の365億100万ドル、純利益が18%減の31億500万ドルと全体では振るわなかったが、部門別でみると、エネルギー・インフラ部門は売上高が15%増の119億1900万ドル、純利益が13%増の17億5500万ドルと例外的に高い伸びを示している。

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