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スマホOS、第3勢力の有望株「ウブントゥ」の侮れない実力

スマートフォン(スマホ)の基本ソフト(OS)を巡る競争が熱を帯びている。2月下旬に開かれた携帯電話の見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2013」では「ファイヤーフォックスOS」と「タイゼン」が注目を集めたが、第3の「第3のOS」とも呼べるのが「ウブントゥ」だ。実際にウブントゥを搭載したスマホを試し、実力を探った。

「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2013」のウブントゥのブース(2月下旬、スペイン・バルセロナ)

13年からMWCの新たな会場となったスペイン・バルセロナの展示場「フィラ・グラン・ビア」の一角にウブントゥのブースがあった。ここで1月に発表したスマホ向け「ウブントゥ・フォー・フォン」と2月発表のタブレット(多機能携帯端末)向け「ウブントゥ・フォー・タブレット」を搭載した端末に触れることができた。

実際に端末を試す前にまず、ウブントゥについて英IT(情報技術)企業、カノニカルのクリス・ケニヨン上級副社長に話を聞いた。カノニカルは南アフリカ出身のマーク・シャトルワース氏が04年に設立。オープンソースソフトの代表格である「リナックス」を活用したOSの開発を支援し、企業向けの導入支援サービスなどを提供している。

パソコン向けのウブントゥは米デルや中国のレノボ・グループが採用しており、「パソコン向けOSではウィンドウズ、マックOSに次ぐ3位に付け、14年には世界シェア9.5%を確保する見通し」(ケニヨン氏)という。ちなみにウブントゥは南アフリカのズールー語で「他者への思いやり」などを意味するそうだ。

「ウブントゥ」の開発を支援する英カノニカルのクリス・ケニヨン上級副社長

既にパソコン向けなどでは一定の地位を確保しつつあるウブントゥだが、スマホ向けOSは激戦区だ。市場の約7割を抑えた米グーグルの「アンドロイド」に加え、モジラ財団のファイヤーフォックスOSやNTTドコモなどが主導するタイゼンもリナックス系だ。では、こうしたOSと何が違うのか。ケニヨン氏に尋ねると「素晴らしいユーザー体験」をまず挙げた。

電源を入れると表示される「ウエルカムスクリーン」は時刻などに加えて、丸いメッセージ表示欄を配置しただけですっきりとした印象だ。この表示欄には電子メール受信や電話利用などの状況を交互に表示する。さらに画面の左端に指を合わせ内側に軽く動かすと、よく使うアプリ(応用ソフト)のアイコンが縦1列に表示され、すぐにアプリを起動できる。

 ホームスクリーンは最近使ったアプリや通話した知人、購入した音楽などの情報を表示する仕組みで、アイコンがずらりと並ぶアンドロイドや米アップルの「iOS」とは雰囲気が随分と違う。さらに、ウエルカムスクリーンでアイコンを表示するために使った指を動かす「スワイプ」がこのOSを特徴付けていることが分かる。

「ウブントゥ」を搭載したスマートフォンのイメージ。中央が「ウエルカムスクリーン」

上端には電池残量や電波の受信状態などを常に表示しており、この点はアンドロイドなどと同じ。だが上端をスワイプすると各種機能の設定画面が表示され、アプリ利用中でも設定の変更が可能だ。さらに電子メールなどメッセージの受信状況もここで確認し、直接返信することができる。メールなどのアプリを起動する必要がなく、便利そうだ。

右端のスワイプでは利用中の複数のアプリを切り替えることが可能で、iOSなどのように一度ホーム画面に戻る必要がない。最後に下端のスワイプだが、これは各アプリの操作に使うことができる。アンドロイドなどのアプリでは操作用のボタンが画面下部に常時表示されていることが多いが、ウブントゥでは必要なときだけ表示させることで画面を広く使える。

「ウブントゥ」で画面の左端をスワイプするとよく使うアプリのアイコンが1列に表示される。

スマホのOSではアンドロイドは先行したiOSとの類似性を指摘され、今回のMWCで大々的に披露されたファイヤーフォックスOSやタイゼンも、アンドロイドと似ていると感じさせる点が少なくなかった。一方、画面の4辺のスワイプを活用するウブントゥはほかとの違いが比較的際だっており、独自性という面では一歩先行しているといえそうだ。

また、ファイヤーフォックスOSなどは開発途上ということもあり動きのぎこちなさが目立ったが、「ほぼ4年を開発に費やしている」(ケニヨン氏)というウブントゥは実用に耐えると感じさせる滑らかさだった。米欧メディアからも好意的な評価が相次ぎ、米ITメディアのCNETは「MWCのベスト製品・サービス」としてウブントゥを選んだ。

もっともウブントゥが第3のOSの勝者になれるかは不透明だ。ファイヤーフォックスOSやタイゼンが世界の通信会社や端末・半導体メーカーの支持を取り付けているのに対し、ウブントゥは出遅れた感がある。ケニヨン氏は「13年末にはウブントゥを搭載した最初のスマホが登場し、世界の二大通信会社が取り扱う」とするが、先行きははっきりしない。

アプリの確保も課題だ。ウブントゥはブラウザー経由で使う「ウェブアプリ」とアンドロイドなどと同じ「ネーティブアプリ」に対応するが、当初ネーティブアプリは「とても少ない」(ケニヨン氏)。年末に発売する端末を「スマホ入門機」と「企業向け」とするのもこうした製品ではアプリの利用が比較的少ないと見ているからだ。

だが、"弱点"を考慮しても、ウブントゥには利用者をひき付ける要素がある。ケニヨン氏も消費者を対象とした目隠しテストでiOSやアンドロイドを上回る評価を得たと主張している。ウブントゥが先行するパソコン向けと同様にスマホでも支持を広げられるかは、いかに消費者を味方に付け、端末会社や通信会社を振り向かせるかにかかっているといえそうだ。

(シリコンバレー支局 奥平和行)

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