エネルギーの有望株は「早い、安い、きれい」

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2011/4/11 7:00
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東京電力福島第1原子力発電所の事故は震災発生から1カ月がたったいまも収拾のめどがたたない。原子力の利用拡大を根幹にしてきた国もエネルギー政策の見直しに動き出した。ただ、不幸中の幸いは、日本が世界最高水準の実力を持つ発電技術は原子力だけではないことだ。

発電所被災による電力不足を確保するため、東電が世界中からかき集めているのが液化天然ガス(LNG)を燃料とするガスタービンだ。ガスタービンの世界4強は米ゼネラル・エレクトリック(GE)、独シーメンス、仏アルストム、三菱重工業。東電は各社に在庫状況と出荷可能時期をヒアリング。調達の手配を急いでいる。

「早い、安い、きれい」――。LNG発電の長所は、この3点だ。まず早さ。メーカーによると、ガスタービンの在庫次第ではあるが「最短で4~5カ月、1年くらいで運転開始が可能」という。夏の電力不足に間に合うかどうかは未知数だが、暖房需要が高まる冬の需要ピークには戦力となる。

出力が100万キロワット級の原発は1基数千億円かかるが、同じ出力のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)なら1桁安い。二酸化炭素(CO2)を排出しない原発とは比べものにならないが、石炭火力発電に比べてCO2の排出も少ない。熱量あたりのCO2発生量は、石炭を5とすると、LNGは3にとどまる。三菱重工は世界シェアこそライバルより低いが、大出力・高効率の大型ガスタービンの実用化で世界の先頭を走る。

CO2排出が多く悪玉扱いだった石炭火力もCO2の排出を抑える「クリーンコール」技術の開発が進む。

IHIと三菱重工、バブコック日立、東芝などは国家プロジェクトとして、蒸気温度を現在の600度台から700度に高め、燃焼効率を高めた先進超々臨界圧(A-USC)火力発電の実用化を急いでいる。

石炭をガスに変えて燃焼させ、最新の石炭火力よりさらに2割効率を高めるIGCC(石炭ガス化複合発電)の実証も進む。電力9社とJパワーが共同出資するクリーンコールパワー研究所(福島県いわき市)は2000時間の連続運転に成功した。IGCCなど高効率の石炭火力にCO2の回収・炭素貯留(CCS)技術を組み合わせれば、CO2の排出をゼロに近づけることも可能だ。

石炭は埋蔵量が豊富なうえ、技術革新によって今後はいままで利用できなかった低品質の石炭も燃料として使えるようになる。有望な発電手段だが原発の陰に隠れて国内ではほとんど新設計画がなく、メーカーは海外市場に活路を求めているのが現状だ。クリーンコール技術は既存の石炭火力に比べてコスト高だが、規模が大きくなればコストも下がる。ガスタービン増設の次はクリーンな石炭火力発電設備の新設を視野に入れるべきだろう。

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