デジタル教科書で13社提携 端末での操作法統一
光村図書出版など教科書12社と、日立ソリューションズは5日、デジタル教科書事業で提携した。デジタル教科書は文部科学省の検定を受けた教科書をベースに制作される教材で、生徒は主にタブレット(多機能携帯端末)を使う。各社はページの拡大など基本的な操作方法を統一し、15年以降に新しいデジタル教材を配信する。生徒らの使い勝手を高め学校での普及に弾みをつける。

13社はデジタル教科書の開発と普及を手がける団体「コネッツ」を設立した。参加企業は国語教科書を手がける光村図書出版、地図帳などを発行する帝国書院、歴史教科書の山川出版社など大手が中心。教育関連システムに強い日立ソリューションズも参画した。
デジタル教科書は文科省の検定を受けていないが、生徒の理解を高める補助教材として導入する学校が増えている。生徒はタブレットでデジタル教材を無線LANなどで受け取ることができる。現在は各社がそれぞれデジタル教科書を制作しており、操作方法が会社や教科書ごとに異なるため、教師や生徒が操作に戸惑うといった問題が起きていた。

コネッツではデジタル教科書の閲覧専用ソフトを共同開発する。ソフトをタブレットに導入すれば、異なる教科書や端末でも、画像の拡大・縮小、画面への線や図形の書き込み、音声再生など基本的な操作方法を統一できる。生徒が授業中に文字などを書き込んだデジタル教科書のページを保管して後で読み返したり、練習問題を何度も解き直したりなどといった使い方も可能になる。

教科書各社と日立ソリューションズはデジタル教科書のデータを保管したり配信したりするクラウドシステムも共同で開発する。開発費用は日立ソリューションズが負担し、閲覧ソフトの利用料金を教科書会社が支払う。米アップルの「iPad(アイパッド)」、米マイクロソフトの「ウィンドウズ7」「同8」で利用できる。他の教科書会社にも参加を呼びかけ、新システムを通じ配信サービスを充実させたい考えだ。