2019年2月20日(水)

「原発ゼロ、CO2との関係は?」 鉄鋼業界、政府戦略に不安感

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2012/9/10 7:00
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政府がとりまとめを急ぐ中長期のエネルギー・環境戦略に、鉄鋼業界が警戒感を高めている。政府・民主党が原発依存率について「ゼロ」へ傾く動きのなか、電気料金の上昇が電炉などの経営に大きく響くことを懸念する。もちろん鉄鋼大手は環境投資に注力しているが、脱原発依存と温暖化ガス削減との関係について政府側から納得のいく説明がないことにも、いら立っている。戦略の中身が、企業の理解を得られるものになるか不透明だ。

高炉では鉄鉱石と石炭を原料に銑鉄を生産(千葉県君津市の新日鉄君津製鉄所)

高炉では鉄鉱石と石炭を原料に銑鉄を生産(千葉県君津市の新日鉄君津製鉄所)

「電炉業界にとっては廃業勧告に等しい」――。

8月9日。政府の「エネルギー・環境に関する選択肢」に対しての日本鉄鋼連盟の意見表明の記者会見。電炉大手、合同製鉄の山根博史取締役は語気を強めて、事態の深刻さを訴えた。

スクラップ(鉄くず)を電気炉で溶かして再生し、主に建材などに加工するのが電炉業。安価な電力を使うために夜間に操業を集中させる「フクロウ操業」が常態化しているものの、電力料金上昇の影響は大きい。

政府が示した原発依存率「ゼロ」「15%」「20~25%」の3つのシナリオのうち、ゼロでは電気料金が最大2010年比で2.1倍に上昇する。日本鉄鋼連盟では、この場合、電炉業全体で電力料金の負担増の額が、2011年度の経常利益の2.6倍にのぼると試算する。

脳裏にちらつくのは、割高な電気料金を背景に競争力を失い日本での精錬がほぼ姿を消したアルミニウム産業。国際的に流通するアルミ地金と、原料も販売先も国内で地域性も強い電炉を同列に論じることはできない。ただ、韓国や中国からの輸入鋼材がじわじわと浸透する中で、コスト上昇分の転嫁は難しく、鉄連の意見書では「家族を含め5万人もの生活が失われる」とした。

では鉄連が原発依存率が「20~25%」のシナリオなら良しとしているのかというと、そうではない。そもそも今回の政府の3つのシナリオ自体について、「表向きは原発比率を選ぶ形なのに、実際には温暖化ガスの削減量も選ぶ『抱き合わせ販売』だ」(宮本武史常務理事)として、疑問視している。

政府の3シナリオでは、原発比率ゼロと15%の場合は温暖化ガス排出量を2030年に1990年比で23%削減、原発比率20~25%では25%削減するとしている。原発の比率の変化は二酸化炭素(CO2)の排出削減にも大きく影響するはずだが、コストが割高な再生エネルギーの導入比率を大幅に高めてCO2排出増を抑える形になっている。このため「温暖化ガス削減の目標で無理をしなければ、電力料金の値上がりも圧縮される」と鉄連は主張する。

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