2019年1月22日(火)

毛筆、樺細工…日本の伝統工芸品も中国市場に挑む

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2011/8/16 7:00
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中国市場の開拓に動き出した伝統工芸品業界は熊野筆だけではない。山桜の木の皮をはぎとって表面をつるつるに磨いて加工する樺(かば)細工もある。秋田県仙北市角館で約200年続く伝統工芸を中国で売り込むのは藤木伝四郎商店の藤木浩一社長だ。

中国の茶筒市場への進出狙う(ジェトロのショールームに出展した藤木伝四郎商店の樺細工)

中国の茶筒市場への進出狙う(ジェトロのショールームに出展した藤木伝四郎商店の樺細工)

中国の茶筒と言えば、スズ製が中心。だが、桜の皮が持つ独特の味わいを持つ樺細工ならば、「同じアジアの文化圏にある中国人にも理解してもらえるのでは」と藤木社長は期待する。「桜の皮は加工後も"呼吸"している。茶筒に使えば茶葉が長持ちする点をアピールしたい」と合理的な中国人に効果的に売り込むすべも思案する。ジェトロのショールームでの展示を足場に、販路の開拓を急いでいる。

樺細工品の市場も縮小傾向にある。角館工芸協同組合によると、角館の樺細工生産額は2010年で9億円。15億円あった1998年のピークの半分近くに減った。

手作りの工芸品で高級品のイメージが強い樺細工だが、近年は手軽な価格のギフト向けなど新規需要の開拓にも力を入れている。「巨大な中国市場は魅力」。同組合の高島まち子さんは言う。

中国市場を切り開くには、現地での販路の開拓をうまく進める必要がある。ジェトロ上海代表処で海外投資アドバイザーを務める能多伸一氏は「販売ターゲットをどこに置くのか、市場性をどこに見いだすのかが重要だ」と指摘する。工芸品に限らず、自慢の商品力を過信して、中国での消費者のニーズを見誤るケースは大手企業でも少なくない。

中国の小売業は、商品は置いたら置きっぱなし。接客サービスの質もさることながら、日本の小売業のように、「店のどこにどの商品を置けば、顧客が手に取って買う」といった、経験に基づいた販売ノウハウがほとんどない。能多氏は「辛抱強く、日本のきめ細かな小売ノウハウを中国側に伝えていくことが重要だ」と話す。

日本の伝統の技を異国で受け入れてもらうのはたやすくない。それでも中国市場に飛び込む決意を固めた日本の伝統工芸企業。その挑戦は始まったばかりだが、その行方は日本の中小企業が中国でいかに勝機を見いだせるのかという重要なテーマで教訓を与えてくれると言えそうだ。

(上海支局長 菅原透)

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