2019年2月23日(土)

鉄鋼スラグ、99%再利用でもなお新用途模索

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2013/4/8 7:00
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鉄鋼大手各社が、鉄の生産に伴って副次的に発生する「スラグ」の新たな用途開発に力を入れている。1990年代までは埋め立てで最終処分されることも多かったスラグだが、実は既にセメント原料や道路の路盤材などとして再利用は進み、ここ数年は最終処分されているのは全体の1%程度に過ぎない。だが長期的には公共工事の縮減は避けられず、販路開拓が必要になるとの判断だ。

石灰や鉄分などを含む鉄鋼スラグ

石灰や鉄分などを含む鉄鋼スラグ

東日本大震災直後の2011年5月。福島県相馬市に入った東京農業大学の復興支援チームは、水田に散乱したがれきの山に言葉を失った。国際食料情報学部の門間敏幸教授は「正直、水田の復元は無理だと思った」と振り返る。その水田に12年秋、豊かな稲穂の黄金色が戻った。

津波で甚大な被害を受けた農地は塩害に加え、津波土砂に含まれる成分が原因で土壌が酸性になった。がれきが取り除かれても水田には草も生えず、ひび割れた大地が広がるばかりだった。その復元に一役買ったのが鉄鋼スラグの一種「転炉スラグ」。新日本製鉄(現新日鉄住金)と協力し、12年4月に水田に散布して実証実験が始まった。

転炉スラグは路盤材などに使われることが多い。製鉄副原料の石灰を含み、水が触れるとアルカリ性になる。この性質が、酸性になった土壌を中和する。

東農大によると転炉スラグは通常の石灰を散布するよりも効果が長続きするほか、作物に有用なリンや鉄を含む。またカリウムは、土壌の放射性セシウムが作物に吸着されるのを防ぐ。実際、12年秋に収穫した米は、同地域の平均的な収量を上回り、玄米や茎葉部の放射性セシウムは検出限界に達しなかった。

転炉スラグは以前から肥料や土壌改良として利用されている。ただその量は11年度実績で国内での転炉スラグの利用量(埋め立て処分を含む)の0.7%に過ぎない。新日鉄住金と東農大は今年、相馬地域の農地復興に500トンの転炉スラグを提供。復興支援とともに今後の肥料用途の拡大に期待をかける。

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