脱PCからソーシャル経済圏まで 11年のITトレンド
編集委員 小柳建彦

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2011/1/6 7:00
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2011年、IT(情報技術)の世界ではどんな変化が起こるだろう。情報通信、インターネットサービス、メディア・コンテンツなど、関連産業に携わる人たちの戦略や考え方に大きく影響しそうな注目トレンドは何か。記者の独断でピックアップしてみると。

■脱パソコン

飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長中のネット企業のトップが昨年末につぶやいた。「今、頭の中にあるのは100%スマートフォン(高機能携帯電話)向けサービスのことだ」――。

別のウェブメディア企業の幹部も、「パソコン向けウェブ事業は大きな成長が望めない。開発リソースの8割程度はスマートフォン向けアプリに割り当てている」と話す。

米IDCが昨年末にまとめた予測では、11年はスマートフォンおよびタブレット型端末(合わせて「非パソコン端末」と呼ぶ)の出荷台数が10年比約1.5倍の4億5000万台と、パソコンの3億8500万台を上回る見通しだ。同社が12月初めに発表した非パソコン端末の出荷予測をさらに上方修正する一方で、パソコンの出荷予測は下方修正した。

予測が当たれば、ハードの需要面で今年がパソコン時代からモバイル端末時代への転換点となるだろう。

しかし重要なのはハードの勢力図ではない。ネット上で事業を営む企業にとって、パソコンと汎用ブラウザーを前提にしたサイトやサービスの位置づけが、成長のフロンティアというよりも、情報・サービス全体の格納庫というものにすでに変わりつつある点だろう。あらゆる産業にとって、ネット関連事業の戦略を立てるうえで、最優先課題はパソコン向けサイト・サービスの強化ではなく、非パソコン向けサービスの強化にシフトしつつあるからだ。冒頭のコメントはそれを象徴する。

パソコン向けウェブと非パソコン向けネットサービスの最大の違いは、課金のしやすさとカスタマイズの余地だろう。スマートフォンや米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」向けのアプリは、有料のものでも人気に火がつくと100万人単位で利用者を獲得できる。アプリの単価が100円でも100万人なら1億円の売り上げになる。月額課金型であれば月100円でも100万人の利用者がいれば、年間12億円の収入を確保できる。

すでに国内の個人や新興企業が米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けゲームアプリで10億円を超す年間収入を上げる例が出ている。この新しい市場を目の当たりにして、「ネット企業」を自認する企業はこぞってスマートフォンやタブレット型端末向けのアプリ開発に経営資源を投入している。

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